かつてサリンジャーの作品の多くは日本語訳されていますが、現在手に入らないものもあります。今回のこの本もそれ。サリンジャー二十代の短編・中編集です。
コールフィールド家もグラース家に関わる人は、この本では誰も登場しません。
初期の頃とあって、若々しいところもありますが、サリンジャーだと感じられます。
おそらくどんな男にも、女の子に変身してしまう街が少なくともひとつは、あるんだと思う。・・・その子はそこにいて、その街そのものなのだ。つまり、そういうこと
だれだって、その鍵穴にも合わない鍵をポケットに入れて、いつまでも持ち歩くわけにはいかない。
目にとまるようなことは何もしてなくて、バルコニーの手すりにもたれかかり、宇宙がばらばらにならないように繋ぎ止めていた。
ちなみに訳は金原瑞人さんです