読んでいて、不思議と温かい気持ちになっていきます。
作者の吉田さんはあとがきでこの本の題名についてこう書かれてます。

おそらく、この星で生きていくために必要なのは「月とコーヒー」ではなく「太陽とパン」の方なのでしょうが、この世から月とコーヒーがなくなってしまったら、なんと味気なくつまらないことでしょう。

この月とコーヒーのようなそんなに重要ではないけど欠かせないようなことを扱った24の短編が収められています。
この中で好きなのは「鳴らないオルゴール」とう話です。
タクトという名のどんなオルゴールでも直す男性がいます。彼にミントという女性がオルゴールの修理を頼みます。しかし、タクトは鳴らすことができません。そのうちタクトとミントは惹かれあい、二人ともに心の中ではオルゴールが鳴らないことを願っています。二人の思いが伝わった瞬間にオルゴールが鳴るのです。
ほっと一息つきたい時に読んでみてください。