「きみのような人が、これまでどこでなにをしていたの?」
と、出逢ったばかりの彼女に彼がきく。
彼女も、問いかえす。
「あなたこそ、どこにいたの、誰といたの」
出逢うべき人が自分のまるで知らないどこかに、ずっといた。つまらない別れになれすぎると、この新鮮なおどろきを楽しめない。


まるで中島みゆきの「糸」のようです。
このパラグラフは物語の中には出てきません。
最後になると分かります。
僕は本当の最後の最後になって分かりました。
最後に片岡さん自身の解説でです。

ふたりの物語は、最後になってはじめて出会い、そこで物語はひとつになる、という小説だ。