油井正雪の乱は歴史上有名ですが,その詳しい内容は僕は知りません。この周五郎さんが書かれた正雪記がどれほど史実に基づいているのかは不明ですが,この上巻だけでも,油井正雪がなぜ乱を起こしたのか見えてきます。
時は三代将軍家光の時代。染屋職人のせがれであった小太郎が,江戸に出て武士になる野望を抱き,儒学などを学びます。そんな時に師になりかわって紀伊藩主徳川頼宜の元に講義をしに出掛けますが,家老の安藤帯刀に一喝されて逃げるように帰ってきます。この出来事に対する反抗心が彼のエネルギーとなっていきます。
そして,島原の乱に出向くのですが,そこでも知恵伊豆と呼ばれた松平伊豆守に嵌められます。