何ゆえにフランス革命が世界史上の大事件となり得たのか・・・一切の妥協を許さずひたすらアンシャン・レジームの破壊に邁進していきます。
そこにはミラボー,ダントンといった強烈な政治家がいましたが,彼らはどこかに妥協点を見出し落としどころを考えていたようです。
しかし,ロベスピエールだけは異なっていました。それは,ダントンが処刑台に向かう中で明らかにしていきます。
ロベスピエールは革命そのもの。一切の妥協を許さず,革命を遂行していく上で邪魔なもは消し去っていきます。そして,サン・ジュストがそれを加速していくのです。
ただ,そのサン・ジュストもロベスピエールが愛を失ったことは知りません。ロベスピエールはデムーランの妻のリシュルに恋していたのです。リシュルが夫のデムーランの命乞いにロベスピエールの元に訪れた時に,ロベスピエールは突然うちあけるのです。それは僕ら読者にも不意打ちのようなものでした。リシュルはこの打ち明けに対してデムーランを愛する故,体を投げ出そうとしますが,ロべスピールは潔癖さ故にその取引に応じません。
結果は,リシュルも断頭台に消えます。ここにおいてロベスピエールは革命の冷徹さそのものになってしまうのです。
処刑台に向かうダントンの言葉です。

ああ,革命はマクシミリヤン・ロベスピエールを必要としたんだよ。
ああ,マクシムは革命と同化した。革命そのものになったとさえいえるかもしれない。