この本は,NHKのラジオ番組「こころをよむ」のテキストが元になっています。
紹介されている本は以下のものです。

W.G.ゼーバルト「移民たち」
イーユン・リー「千年の祈り」
アキール・シャルマ「ファミリー・ライフ」
小川洋子「ことり」
ハン・ガン「菜食主義者」
J.M.クッツェー「マイケル・K」
カズオ・イシグロ「浮世の画家」
多和田葉子「雪の練習生」
村上春樹「職業としての小説家」
マリー・ンディアイ「三人の逞しい女」
マリリン・ロビンソン「ハウス・キーピング」
レイラ・スリマニ「ヌヌ 完璧なベビーシッター」
村田紗耶香「コンビニ人間」
瀬尾夏美「あわいゆくころ」

読んでるのは3冊かな。まず読みたいなと思ったのは,レイラ・スリマニ「ヌヌ 完璧なベビーシッター」です。
著者の小野正嗣さんは,文学は歓待する,というご意見です。

文学作品-文字を含め芸術作品というもの―はつねにあなたを歓待しようと待ち構えています。作品は生まれた瞬間から誰かを歓待したくてたまらないのです。・・・作品にとっては,読まれることはすなわちあなたを歓待することです。

以上の文は。この本からの引用です。引用について,小野正嗣さんはこう述べています。

人がある本を読んで,どの部分を,どの言葉を引用するかには,その人のありようが反映されます。

文学については,こう述べています。

災害や病気によって悲しみや苦しみにある人々,社会や歴史の周縁に追いやられ,不可視にされた人々に注意を傾け,可能な限り一人ひとりにまっすぐ向き合いながら,その声に耳を澄ますということに献身的に取り組んできた,そしてそのようにして悲しみを抱えた人たちと僕たちのあいだをつなぐ橋になろうとしてきた生き方を文学的と呼ぶほかないのです―なぜなら,そうしたことこそ,文学と呼ばれるものが行ってきたし,少なくともやるべき責務のひとつです。