澁澤龍彦訳で裁判にもなった本です。
もともとは,「ジュリエット物語あるいは悪徳の栄え」という題名のようです。この「悪徳の栄え」の主人公はジュリエットなのですが,彼女には妹がいてこの妹の物語が「新ジュスティーヌ」で,「悪徳の栄え」はその続編なのだそうです。
さて,確かにこのジュリエットは残虐非道の限りをつくす悪徳な女性です。悪徳こそ美徳なのです。
この本では,その悪徳がなぜ美徳なのかということを登場人物に語らせます。このあたりは文学的とも言えます。表現が猥褻ということで裁判にもなったわけですが,こうして読んでみると当時はそういう時代だったんだなと思えます。今の何にも問題とされてない本の過激なこと・・・・
さて,このサドが生きた時代はまさしくフランス革命の最中です。
サド自身バスティーユ牢獄の収監されていて,1789年7月2日に「彼らはここで囚人を殺している!」と叫びフランス革命のきっかけを作ったとも言われてます。
そして,この本の中で,快楽は神であり,快楽の前では平等である,と人権宣言のようなことを書いてます。
そのサドは最後はナポレオンによって幽閉され生涯を終えました