この本は放送大学の講義を元にしてまとめられています。
講義している方は,工藤庸子 池内紀 柴田元幸 沼野允義 といった翻訳の分野でも活躍されている方々。
こういう本を読んでいて面白いのは,自分がまだ読んでいない本で読んでみようかなと思える作品に巡り合えること。もう一つは,読んだ本だと同じ読みとり方だったとか,そういう読み方があるのか発見できることです。
巻末の編者あとがきで工藤庸子さんがこう書かれています。

・・・「読む技法」を学ぶとは,提示されたテクストを正面から見つめ,フィクションの仕掛けを読み解く知性と感性と想像力をーいわば基礎体力を高めるような感じでー実践的に磨いてゆくことだとわたしは考えている。仮説を立てて思考することができぬ人間,その種の知性と感性と想像力を欠く人間が,社会集団や組織をリードすることの恐ろしさを,わたしたちは身に浸みて知っているー