いろんなろころのレビューでは,村上春樹に似ているということが書かれてる。けど,反対でしょうね。というより似てるどうこうというより,村上春樹の文体がアメリカ文学の影響を受けてるので,そういうことになるのでしょうね。
この本の原題は「中絶」この本の中では「堕胎」という言葉が使われてます。邦題の「愛のゆくえ」は,ロマンチックな感じですが,内容的には原題ですね。原題のままでは,売れないでしょうね。
作者のブローティガンは,ビート・ジェネレーションを代表する作家。そんなブローティガンにとっては,中絶が法的に禁止だった時代のアメリカ合衆国に対し,もの申したいのでしょう。内容的には,中絶禁止反対という内容はありませんが,二人でメキシコの闇医者に中絶しに行くというのは,それでしょう。
中絶することに悩む場面は一切ありません。まだ,自分たちでは育てられないので,中絶するという決断にすぐにいたります。アメリカじゃできない,という表現もありません。