「プルーストとイカ」の中で出てきたのが読んだ動機です。17言語,37か国で翻訳出版さえているのだそうです。
著者のカルロス・ルイス・サフォンさんは,スペインのバルセロナ生まれでロスアンゼルス在住だそうです。
物語の舞台は,著者の生まれた町の1945年のフランコ政権下のバルセロナ。
ダニエル少年が古書店を経営する父親に連れられて「忘れられた本の墓場」で人生の本として選んだのが謎の作家フリアン・カラックスの「風の影」。
少年から青年になったダニエルは父親の古書店を手伝いながら,フリアン・クラックスについて調べる。そして,顔を焼かれた謎の男が現れる。謎の男はフリアンの著書を全て焼こうとしている。
ダニエルの成長とともに物語は展開していく。
誰かのことを愛しているかどうか,一瞬でも考えてしまうようなら,その人はもう,その相手を愛していない。その先も永遠に愛することはない・・・
小説に逃げ場をもとめる者のように。なぜなら,そういう者にとって,自分の愛したいと思っている人たちは,知らない人間の魂に住む影でしかないからだと。
このことから,題の「風の影」の風とは,知らない人間の魂のことかな・・・
心は熱く,頭は冷静に。これ誘惑の鉄則ですからね。
本は鏡とおなじだよ。自分の心のなかにあるものは本を読まなきゃ見えない。
運命はね,いつも道の曲がり角におるんです・・・ただし,自分の家までは来ちゃくれない。こっちから出向かなきゃいけないんだ。