これも太宰治の続きです。
「斜陽」のきっかけとなったチェーホフの四大戯曲の一つの「桜の園」
母のラネーフスカの放漫な生活の結果,「桜の園」を失うことになった娘のアーニャ。去るにあたってアーニャが母親に述べた言葉。
さ,一緒に行きましょう。出て行きましょうよ,ねえ,ママ,ここから!・・・わたしたち,新しい庭を作りましょう,これよりずっと立派なのをね。それをご覧になったら,ああそうかと,おわかりになるわ。そして悦びが―静かな,ふかい悦びが,まるで夕方の太陽のように,あなたの胸に射しこんできて,きっとニッコリお笑いになるわ,ママ!
この「夕方の太陽」という言葉から「斜陽」となったようです。
でも,このチェーホフの「夕方の太陽」の表現がなんかすんなりと納得いきません
。沈むゆく太陽のようになぜニッコリ笑えるのか。。。「斜陽」という言葉なら,滅びゆく貴族のイメージに合うのですが・・・
さて,この本のもう一つの「三人姉妹」。僕はこちらの方が面白かったです。三人の姉妹の悲劇とまではいかないまでも,モスクワに行きたいのだけど実現できず現実に翻弄されます。