僕が持ってるのは昭和56年の75刷版です。定価は200円。もちろん消費税のない時代。表紙も今と違って版画家の山下清澄さんのもので,だんぜん今の物より雰囲気があります。
さて,物語は没落していく母一人,娘と息子の三人の没落貴族。
破滅を求める太宰らしい物語。母は天真爛漫な女性。娘でこの物語お語り部でもあるかず子は,流行作家の上原に恋と革命を求める。弟の直治は貴族という階級を嫌い麻薬中毒になり,そして自殺する。
「人間はみな同じ」という言葉に秘められた在位酷な意味。
三人の親子は,どれも太宰の分身と言えます。