始まりは,パリのブラッスリーでの出来事。家族がバカンスに出かけたため,に一人で食事に訪れたダニエル。隣の席に,ミッテランが食事に現れる。そして,ミッテランは帽子を忘れて帰ってしまう。ダニエルは,その帽子を自分のものにしてしまう。不思議なことに,この帽子のおかげで,彼は会社で躍進をとげる。
そして彼もその帽子を電車の中に忘れてしまう。それを拾ったのは,ファニー。彼女は妻子ある男と付き合っていた。彼はファニーに分かれると言いながら,まったく進展しない。ファニーは,その帽子の影響か,そんな男と別れる。次にミッテランの帽子を手に入れたのは,スランプに陥っていた調香師のピエール。彼は,この帽子のおかげで,再び自信を取り戻し,かぐわしい香水を作り出す。そして,その帽子は,次にベルナールが手に入れる。彼は,旧貴族階層に属し,そのサロンの付き合いに辟易していた。彼もその帽子の影響か,自由に目覚め,前衛的な画家のバスキアの作品を手に入れ,高額で売れる。そして,帽子は。。。ダニエルは,帽子を失くしてから,再び不運に見舞われ,その帽子を探していた。そして,やっと手に入れ,ベネチアに旅行するのだが,そこで出会ったのはミッテラン。帽子の行方は。。。。ミッテランは,内閣は右派に支配されながらも,大統領に再選されるのです。
という,なんとも愉快な物語。
物語の中で,プルーストに関連したバルベック賞が登場してきたのは,個人的にうれしかったですね。
また,ベルナールという登場人物のサロンでの会話なども,プルーストの作品を読んでると,比較すると面白かったです。フランス人はいまだにフランス人なんですね