芥川賞受賞作品は,積極的には読まない僕です。前に読んだのが「コンビニ人間」だったかなぁ・・・でも,この前,NHKのラジオを聴いていたら,宇佐見りんさんのインタビューをやってました。娘も聴いてて,読みたい,と。まあ,本屋大賞の候補作でもあるので,読んでみました。
それ故か,
なんか「コンビニ人間」を彷彿させられた僕でした。
推しているアイドルがファンを殴って,ブログが炎上してるという題名ですが,内容は,その炎上したアンドルのファ主人公であるそのファンである高校2年生女子。学力はなく,病名ははっきり書かれてませんが,精神的なもので通院もしてます。そんな彼女を描いた物語です。
この物語は一人称で書かれてます。漢字の学習もままならず,進級ができず高校も中退してしまう彼女ですが,一人称で書いている内容は,非常に緻密な文章です。まあ,彼女の年齢が高くなり,その時点で過去を振り返って書いているという設定でしょうか。。。。その分,彼女の思いは,自己分析的に書かれており,それゆえ非常に切ないものです。そういった意味では,彼女の心情が非常によく分かるように描かれてます。自分の思いと,家族との違い。息苦しい中で,どう生きていくのか。。。彼女の救いであったアイドルが炎上し,引退していく。ある意味,アイドルという割り切りゆえに,恋愛とは異なる感情なのでしょうね。。。でも,その分,僕的には切ないです。

重さを背負って大人になることを,つらいと思っていいのだと,誰かに強く言われている気がする。同じものを抱える誰かの人影が,彼の小さな体を介して立ち上る。

ここで言う「彼」こそ,主人公が推しているアイドルなのです。

あたしは推しの存在を愛すること自体が幸せになるわけで,それはそれで成立するんだからとやかく言わないでほしい。

つらさと引き換えに何かに注ぎ込み続けるうち,そこに自分の存在価値があるような気がしてくる

推しを取り込むことは自分を呼び覚ますことだ。諦めて手放した何か,普段は生活のためにやりすごしている何か,押しつぶした何かを,推しが引きずり出す


そして,物語の最後は。。。

這いつくばりながら,これがあたしの生きる姿勢だと思う。
二足歩行は向いていなかったみたいだし,当分はこれで生きようと思った。体は重かった。綿棒をひろった。