無人島に持っていく1冊 とか 世界傑作文学100選にも選ばれたりした,ラテン文学ブームをつくった,この一冊。
ガルシア=マルケスはノーベル文学賞も受賞します。
この本は,ブエンディア一族が蜃気楼の村マコンドを創設し、隆盛を迎えながらも、やがて滅亡するまでの100年間の物語です。
読んでいて思ったのは,フォークナーの「アブサロム!アブサロム!」であり,そこの登場するサトペン家の物語でした。ガルシア=マルケス自身,フォークナーの影響を受けていると言ってるようです。
サトペン家は,白人の純潔を守ろうとしたところの悲劇ですが,この「百年の孤独」は,近親相姦から守ろうとして,結局のところ,その呪縛から逃れえなかった物語でもあります。そういう意味では,「オイディプス王」的な悲劇もあるのかなと思ってしまいました。
また,この物語は「マジック・リアリズム」という色分けもされてるようで,不思議な出来事がでてきます。ブエンディア一族の運命は,メルキアデスというジプシーが残した羊皮紙にすべて描かれていたのです。近親相姦の末に生まれてくる子どおは豚のしっぽをはやしてくるという言い伝えがあり,それから逃れるために新しく村をつくったのです。しかし,最終的には,叔母と甥の関係の末生まれてくる子が,豚のしっぽをもって生まれてきます。甥は,叔母であるということも知らず,ただ姉であるかもしれないという予感はあったようで,こっちの方がまずいのでしょうが。。。そういう言い伝えは知らなかったということです。百年故に消え去っていくのでしょうか。いずれにしても,その事実を最後に羊皮紙を読み解くことによって,最後に知ります。
この物語の最後の文は,
百年の孤独を運命づけられた家系は二度と地上に出現する機会をもちえないため,羊皮紙に記されている事柄のいっさいは,過去と未来を問わずに,反復の可能性のないことが予想されたからである。
で終わります。
ただ,一族の終焉というのは,身近な出来事であるとも思います,少子化の進む日本においては,今もその家系が終わってしまっているケースが多々起こってると思います。そういう意味では,僕らも孤独の時代を生きているのかもしれませんね。
希望としては,このブエンディア一族の登場人物は,みんな一生懸命に生きてました。コロンビアが舞台なんですが,政府軍と反政府軍の戦いなど,精いっぱい生きてたと思います。
運命は,それ以上のものなのでしょうね。。。空しく思うのか,どうかはその生き方なのでしょうね