長い分厚い,そして,サナトリウムでの話ということで,読むのを避けてた本。
このサイトのおかげで読んでみた。。。読めるじゃん。。。途中,眠るのかなと思ってたけど,結構,楽しみました。
日本語訳として,新潮文庫と岩波文庫から出版されてます。ネットで調べたら,新潮文庫の方が読みやすいということで,この本に。
時代は,第一次大戦前,主人公はハンブルク生まれの青年ハンス・カストルプ。彼は,休養がてら,いとこの見舞いに,スイスのサナトリウムを3週間の予定で訪れます。そこで,いろいろな人に出会う,そういう物語。
イタリア人のセテムブリーニは,彼にいろいろ思想的な話をする。ハンスは反発も覚えながら,彼からいろんなことを学び,思想的に成長していく。
場所は,サナトリウムとその周辺だけです。この物語の読者は,ハウスの成長とともに,人生というものを考えていくことになります。
そんな中で,ハンスがよく考えるのが,「時間」の概念です。これもこの本の一つのテーマなんだと思います。
さて,3週間の予定だったハンスは,体調不調を訴え,彼もこのサナトリウムに入所することになってしまいます。


時間にはね,決して『実際は』というようなことはないんだ。長いと感じるなら長いんだし,短いと感じるなら短い。それが実際には,どのくらい長いのか,また短いのか,そんなことは誰にもわからないじゃないか。

間断なく同じ生活が続く場合には,時間の体験が失われる危険があって・・・

待つとは,さき回りすることであって,時間や現在というものを貴重な賜物と感じないで,逆に邪魔物扱いにし,それ自体の価値を認めず,無視し,心の中でそれを飛び越えてしまうことを,意味する。

こういう気前のいい時間の浪費,この野蛮な大まかなやり方,これはアジア式なのです。-これが東方の子らに,この場所を居心地よくしている原因のひとつなのです。

 

そして,ロシア人のショーシャ夫人に心惹かれていきます。でも,何もできないハンス。そんなハンスは謝肉祭のパーティー,とうとう彼女に愛をうちあけます。上巻のクライマックスです。