東野さんの最新作です。時代はコロナ禍の今。社会問題を先んじて取り上げる東野さんです。ただ,コロナの問題は,このストーリーの中では,正面切って取り上げてません。この本は,ライトミステリーです。このライトミステリーという言葉,僕は人が死なない事件の犯人捜しのミステリーかと思ってましたが,それもあるけど,登場人物が青少年だとかあるそうです。この物語は,さくさくと面白く読めてしまう意味で,ライトミステリーと言えるのかなと思います。
主人公は30歳で恋人との結婚間近な女性で東京に一人で出てきている神尾真世。父は元教師で,田舎のこともあり,娘の真世の学校の教師もしていた。そんな父親を交えての同窓会が地元で計画されていた。その父親が殺される。そんなときに,突然現れた,アメリカで活躍していた元マジシャンの叔父の武史。この叔父のキャラクターがユニークで,自力で事件を解決しようとする。あと登場人物は,真世の同級生たち。東京に出てきても親友だった女子。アニメがあたり売れっ子になった漫画家。そのマネージャーとなった女子。地元の有力者。銀行員などなど。彼らの誰が犯人でもあるようなストーリー展開。
このブラック・ショーマンの詳しいことは,まだまだ不明なことが多いので,続編もありそうな雰囲気。
東野さんは,とにかく,書き方がうまい。誰もが犯人のような展開で,こいつか,あれ,こいつなのかと,読み手を楽しませてくれます。コロナ禍の中でも,楽しく読めるということで,この物語を書き下ろしたのかなと思います。