この本は,小川洋子さんのラジオ番組「パナソニック・メロディアス・ライブラリー」で紹介されてたものです。
全然知らなかったのですが,アメリカでもベストセラーでテレビ・ドラマ化され,日本でもNHKで放送されてたそうです。
主人公は,妻に先だたれたサム・ピークという足の不自由な老人。そんな彼のもとに,突然白い犬が現れます。この犬は,サム以外の人の前には,なかなか姿を見せず,彼の子供たちは,父親の頭がおかしくなったのかと心配します。でも,サムに危機が訪れた時には,姿を見せ周囲に人に知らせるのです。
サムは頑固でもありながら,子供たちにもすかれています。サムは亡き妻コウラと一緒に過ごした日々を懐かしく思い出します。彼は日記を書いているのですが,老人特有の意固地な面はそんなにはなく,よい父親だとも言えます。
そんな彼が,子供たちに黙って高校の同窓会に出かけるのですが,道に迷ってしまいます。そんな彼を白い犬が通りがかりの牧師ハワードに知らせるのです。このハワードもいい人で,サムの自尊心を傷つけないように同窓会の町まで同行し,心配しているサムの子供たちに知らせます。
ハワードはサムとの出会いを
わたしは今,きっと善を積んでいるのだ。サム・ピークは教訓をもたらしてくれたと直感した。神の御業とか導きはあるのだ。
と思います。こんなふうに,物事を見られることは素晴らしいことだと思います。
そして,そんなサムも最後には癌のために亡くなります。子供たちが最後にサムと同居するようになってからは,白い犬は役目が終わったかのように去っていきます。白い犬はサムの妻だったのでしょうか・・・
この本のBGMは,ジョン・デンバーでした。彼の透明感のある歌声が,この物語にぴったりでした。