トルーマン・カポーティのドキュメンタリー映画が上映されてるということで,半自伝小説であるこの本を読みました。
主人公は,ジョエルという少年。母親が亡くなり叔母にあずけられていたのですが,突然,母と別れた父親から手紙が届き,いっしょに暮らしたいという。叔母の家での生活がうまくいってなかったので,その父の住むもの寂しい町に行く。
そこには,父の再婚相手とその従妹と黒人のお手伝いが住んでいた。臨家には,ジョエルと同年代の双子の姉妹。
ジュエルの思春期特有の屈折した心情を描いたお話です。
カポーティの生涯と照らし合わせてみると,彼の人生を考えるのに参考になります。
だが柱時計は生贄を求めている,さもなければ決して止まることはないだろう,しかし生命はどこかで終わらなければならない,なぜならわれわれの中のだれが,末長くいのちの緊張に耐えられるというのか?他のことは一切ぬきにしても,この中にはいくらか心理がはいっているようだ,時計はたしかに生贄を求めようとする―死とはすなわち,時と永遠に対する捧げものではないのかい?
・・・だれでも一生のうちには,自分が故意に織られた模様の,ただ一本の糸にすぎなくなるような事態が起こるものなんだ・・・・神によって織られた,と言おうかね?
頭脳ならば忠告も受け入れられよう,しかし心はどうにもならない,おまけに地理案内もない愛情は,その限界を知らない―