僕のライフ・読書とも言える、片岡義男作品
今回は「寝顔やさしく」
七つの短編が収められています。どれも、僕のイメージする片岡義男作品でした。
今回は、とても満足。
真夏を数日だけむこうへこえた快晴の日の、夕陽の時間だ。
太陽は、すでに西へ深く落ちている。
素敵な表現。
「ぼくは、歯をみがく。そして、コーヒーだ」
「コーヒーね」
「そう」
「いれておくわ」
「すぐにいく」
「何杯あるといいかしら」
美保子が、きいた。
「すくなくとも、二杯」
清水がこたえ、
「わかったわ」
と言って、美保子は化粧室を出た。出たところでふりかえり、鏡のなかで清水の視線をとらえた。そして、
「二杯目には、器を変えさせてね」
と、冗談のように言った。
片岡さんは、コーヒーが好きなんです。僕も好きです。ただ、我が家では、こんな会話もないし、僕がコーヒーを家族にいれるのです。