澄川家は、父の連れ子の弟、母の連れ子である兄と自分(女子)、そして、再婚した父と母の間に生まれた妹。これは、第一章が「私」から始まってるので、その視点からです。
この兄は、前の父が女を作って出て行った後、澄川家というか母の支えだった。そんな兄が、突然、雷に打たれて死んでしまう。そして、母は崩壊し、アルコール依存症になってしまう。そんな澄川家を「私」「おれ(弟)」「あたし(妹)」そして「皆」の視点で描かれてる。
一番上の兄の死というと、サリンジャーの描いたグラース家を思いだしてしまった。兄の死を、どう捉えるのか。。。
澄川家の死は・・・・ 増えていく死だ。澄川家の人々は、こうする以外、彼の死を受け入れることが出来ないということだ。
いったい。何年、やってるんだ、と呆れ笑う人もいるだろう。・・・世の中には、もっと悲惨な原因で命を落とした人々が大勢いるのではないか。そして、遺された人たちが必死に立ち直った例も山程あるではないか、と。
その人たちの死は、私たちの大切な死じゃない。・・・だって、知らない人だもの。・・・切実であるべきは、いつだって愛する人。そして、愛する人の死。今ある自分の一部分を確実に形作って来た人のことだ。