この乙川優三郎さんという作家さんは、初読みです。
読み始めて数ページでやめようかと思ったんですが、続けて読んでいたら、めちゃよかった。
ただ、年齢の高い人向きかもです
内容としては、高齢の作家さんが、自分の人生を振り返っての物語です。
どうやら、乙川さん自身をモデルとして書かれたようです。
表紙の英語、「AFTERE YEARS OF WANDERING THE SECOND WAVE」どうやら、FIRST WAVE という作品もあるらしい。
主人公は、高橋光洋という高齢の作家。彼は、生い立ちは貧しいものだったが、家を出て、海外を旅する間に、外資系のホテルに勤めることになる。
そして、主人公の高橋が作家として文章の記述に悩むように、この作品の魅力の一つが文章にあります。すごく、いい文がある。それは、高尚。
女の人生の頁には馬鹿をやった日のことやつMならない出来事が記録されるのよ、それのない白紙の人生こそ自虐でしょう
モネの睡蓮の絵、そして、フランスのジヴェルニーの池
画家の魂を宿して百年前の睡蓮が生きていますもの
魂の愛が不滅の栄養というわけですね
どんな理由であれ死者の今を想像するのはむなしいことのように思います、死者にも死後の愉しみを夢見た一瞬があったかもしれません