『修百世可同舟』誰か同じ船で川をわたるためには、三百年祈らなくてはならない。
どんな関係にも理由がある。それがことわざの意味です。夫と妻、親と子、友達、敵、道で会う知らない人、どんな関係だってそうです。愛する人と枕をともにするには、そうしたいと祈って三千年かかる。父と娘なら、おそらく千年でしょう。人は偶然に父と娘になるんじゃない。それはたしかなことです。
イーユン・リーは、中華人民共和国出身で、現在、アメリカに住んでいる。
この短編集は、第1回フランク・オコナー国際短編集受賞作品。ちなみに、第2回は、村上春樹だそうです。
ひさびさに、すごい本に出合った。現代中国の様子が、見えてくる。文化大革命、天安門事件 などの社会の中で、中国人民が、どのように過ごしているか、普通の家族を通して描いている。世界には、こんな現実があるんだと教えてくれる。単に、共産党批判というのではなく、あるがままの現実の中で、一人一人は、精いっぱい生きてるんだなって感じる。あれだけ、第二次大戦後、社会が変革している中で、世代間の意識の差もあることが伝わってくる。決して、難しい言葉で語られてはいないけど、登場人物の、どうしようもない生きる祈りが聞こえてくるようです。
この本に収められている、それぞれの短編にもコメントを寄せたいぐらい、衝撃な本でした。