マハさんの元に自分から自分宛の取材の依頼の手紙が届くところから始まる。
これは、ICOM京都大会を記念して、世界遺産・清水寺において「CONTACT つなぐ・むすぶ世界と日本のアート」展も開催にちなんでの物語。
この中で、マハさんが川端康成に会いに行った話からのことです。
川端康成は、若い頃、大好きだった作家さん。
この本に出てくる康成さんがマハさんにかけた言葉
「君は、私の書いたものを読んで、幸福かね?」
「一生の間にひとりの人間でも幸福にすることができれば、それが自分の幸福だ」
あー いい言葉だ。調べたら、結構有名な言葉で。「掌の小説」という短編集の中の「一人の幸福」という文庫本4ページの物語にでてくる。
読んでみたら、悲しい話だった。
満州にいる継母に育てられている小学校卒業間際の弟から、継母にいじめられてつらいので卒業したら、日本に戻りたいという手紙がくる。それを読んだ姉は、なんとかひきとろうと考える。そのことを、妻子だが病気なので世話をしている彼に伝える。彼は、弟の世話をしてやれば、今の生活を続けることができると考える。
そして、最後に彼は、
「そのに自分の力で一人の少年を幸福にしてやることが実に明らかなのだ。一生の間に一人の人間でも幸福にすることができれば自分の幸福なのだ。」
という。
・・・・ え、どういう設定で、この彼の思いは、どうなんだろう?と思ってしまった僕です。
でも、この言葉自体は、いい言葉ですね。