澁澤龍彦さんの作品は初めて。なかなか、手が出なかっただけど、購入動機はパケ買い。あと、宇月原晴明さんの「安徳天皇漂海記」という伝奇ものが面白かって、それと題名の雰囲気が似てたんです。
調べてみてわかったんだけど、高丘親王のいうのは実在の人物で、平城天皇の皇子で空海の弟子でもあった人。この物語のように、天竺を目指して漂流した人物。
これだけでロマン。
物語は67歳のときに、側近の安展と円覚の三人で唐を経て天竺に向かうところから始まる。親王の思いは、幼きときに育ててもらった藤原薬子への思いが強く残っている。旅先では、薬子の夢をみたり、不可思議な出来事に巻き込まれたり、会話の中に英語や未来のことも出てきたりとか、摩訶不思議な展開を見せる。
なお、この作品は、澁澤さんの遺作ということである。また、解説が高橋克彦さんというのもいい。