題名の「どうしても生きている」とおりの短編集。
是枝さんの帯は、十年後に振り返ってみると、という表現は、まだ、なんかよくなってるっていう感じだけど。この本を読むと、十年後も変わっておらず、死ねないから、生きてるだけなんじゃないかなって、思えるようなストーリーばかり。
「何者」なんかに共通する、すごく現実的に見つめている朝井リョウさんらしく思える本。
世の中、ハッピーエンドで終わるものではない。すごーく、重苦しい内容。でも、読後は、なんか、カタルシス的なものもある。自分だけじゃないんだよな、っていう感じなんだろうか・・・
「〇〇だから××、という健やかな論理は、その健やかさを保ったまま、やがて、鮮やかに反転する」
「生きていくたに、直線は曲線になる」
「豊川は、物語を考える自分を超えて、自分に嘘をつかずに生きるって腹を括ってる風な自分を好きになっちゃったんじゃないの?」
「どこに向かって進んだって後ろめたさの残る歴史を歩み続ける以外に、この人生に選択肢はない」
「この世には、二種類の人間がいる。生きる世界が変わってしまったとき、自分を変えなくていい人。その人のせいで、自分を変えなければならなくなる人。そしてそれはきっと、知らないうちに知らないところで、決められてしまっている。
二分の一。確率は五十パーセント。生まれる前に行われる籤引き」