「人殺しの作品ばかり書いていると、時折ふと、人を生かす話を書きたくなるのです」
amazon見たら、こんな言葉を東野さんが書いてました。

月郷(つきさと)神社クスノキに祈れば、願いが叶うと言われる
今まで会ったことのない伯母から、窃盗未遂からクスノキの番人になることを条件に助けられ、番人となった玲斗。
新月と満月の晩に祈念ができる。その祈念の秘密とは何か。依頼者の娘から、父の秘密を共に探ることで、クスノキの真実に迫り、彼自身も成長していく。
読んでいて、人の思い、人への優しさが伝わってきた。「ナミヤ雑貨店の奇蹟」にもつながる。ナミヤでも、音楽が重要だった。山下達郎の曲だった。
この物語にも、音楽が重要な役割を果たしている
東野さんが自ら書いているように、人を生かした話
僕には、とても良かった
一気読みだったな

「硬くなる必要はありません。自分はこういう場にいて当然の人間だと信じ、堂々としていればいいのです。ただし、虚勢を張ってはいけません。人は虚勢を張る人間より、張らない人間のほうを恐れますからね。あくまでも自然に」

そうだよね。人より偉く見せようとか、知識をひけらかぢて人の上に立とうとする人とかより、自分のありのままの姿でいられるといいよね。主人公の玲斗は、母親が妻子ある男性との間に生まれた子で、自分の存在にも否定的だった。
そんな彼に伯母は次のように言う。

「あなたの生き方に口出しはしません」彼女は感情を押し殺した声で静かにいった。「ただ一つだけアドバイスするならば、この世に生まれるべきでなかった人間などいません。どこにもいません。どんな人間でも、生まれてきた理由があります。そのことだけは覚えておきなさい」