七つの短編集。いつもと違う。
「ボビーに首ったけ」のボビーは、オートバイ事故で逝ってしまう。続く「どしゃ降りのラスト・シーン」でも。「烏なぜ啼く」も。「朝になったら、タッチミー」では、ハーレーに乗った美女は、北海道の冷たい海へ。
なんか、重いストーリーが多かったなぁ
でも、最後の物語では

「きみは生まれてきてよかった」
「なぜ?」
「素敵だから」
と、牧田は答えた。
「幸せくらいには、きっとなれる」
 風が吹いた。ふたりのすぐうしろで、並木の枝にびっしりとついている緑の葉が鳴った。おなじ風に、美和子の髪が、あおられた。遠くを見ていた視線を、彼女は牧田にかえした。そして、ごく淡い微笑を口もとにうかべ、美和子は言った。
「いまから100年くらいしたらね」

きれいに収めてくれた。
ただ、このような表現は、いつものごとく本全体にちりばめられている。僕好み。こんな片岡義男の本を広めようとしている僕です。
そう言えば、2,3日前、新聞の広告に、片岡さんの本の宣伝が載ってるのを見つけ、嬉しかった。