チセはタクシーを拾い家につくと

ゆっくり茶碗蒸しを冷蔵庫に入れた。

夫は歩くことが不自由でトイレにいくまでの間

あるいは、トイレに着くなり我慢できず失敗することが多い。

そのため、トイレはいつも汚れている。

今日もトイレで失敗していた。

チセは舌打ちをした。

かといって、自分も疲れているのだ。

夫を捕まえ「何で毎日、毎日こうなんだ。

お前なんて、お前なんて」といいながら足を蹴っている。

けして見えるところに傷はつけられない。

夕方焼酎を飲んでいる夫はよろよろしてなすがままだ。

チセの気持ちが収まるまでじっとしているしかない。

チセは若い時夫に殴られた事を思い出すととまらなくなるのだ。

かといって体力がそれほどあるわけではないので疲れてしまう。

                               つづく