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京都大学の霊長類研究所特定助教の山本真也氏、Tatyana Humle Kent University(英国)講師、野生動物研究センター准教授の田中正之氏ら共同研究グループは、チンパンジーが道具使用「テクニック(技法)」を観察によって学習し、他者が見せる効率の良いテクニックへと方略を改善させることを発表した。

今回実験で観察された道具使用は、ストローでのジュース「吸い」と「浸し釣り」の2つ。どちらも同じ道具(シリコンチューブ)を使い、同じ場所(壁にあいた直径1センチメートルの穴)で同じ対象(ジュース)に対して行われる「テクニック」だが、効率が大きく異なるという。

チンパンジーの9個体を個別にテストしたところ、4個体は「吸う」テクニックを、残る5個体は「浸し釣る」テクニックをみせた。そこで、この「浸し釣る」5個体を「吸う」モデルとペアにしたところ、最終的にすべての個体がより効率の良い「吸う」テクニックを観察して学習した(4個体はチンパンジーモデルを見て、1個体はヒト実験者が「吸う」のを見て学習)。

●本研究のポイント
この研究のポイント(先行研究と異なる点)は、(1)単純な模倣戦略(刺激強調)では説明できないテクニックの社会学習、(2)効率のよいテクニックへの改善の2つだ。

社会学習によるテクニックの改善は、ヒトに特有であると考えられている累積文化進化の基盤として重要な役割を果たすと考えられる。テクノロジーの発展にみられるように、ヒトでは、ベースとなる行動からよりよい技法が編み出され、それが個体間に広まって文化が発展していく。このような累積文化進化の認知的基盤をチンパンジーが持っていることが示唆された。

◎京都大学