食品工場のパートを辞め、ハローワークで失業手当を貰いながら、医療事務の仕事を探す事にしました。
診療報酬請求事務能力認定試験を持っているのだから、就職に有利なのではと考えていました。
しかしその考えは甘かったと、直ぐに思い知ります。
求人の出ているクリニックで、自宅から通えそうなところは片っ端から履歴書を送りましたが、書類で落とされたり、面接に進めても面接で落とされました。
面接をしてくれるのはクリニックの医院長(医者)で、医療事務の資格に詳しい人はあまりいないから、診療報酬請求事務能力認定試験を持っているからと言って有利にはならないのだと知りました。
寧ろ面接で
「パソコン使えますか
」
と聞かれたり、電子カルテの資格を取ったのですが
「電子カルテよりWordや Excelの基本操作出来る人がいい」
と言われてしまいました。
私はWordやExcelを使いこなせませんし、パソコンはネットぐらいしか出来ません。レセコンや電子カルテの勉強をしましたが、学習用のソフトで、実際にクリニックでは様々なメーカーの電子カルテがあり、メーカーによって異なります。
更には
「未経験
って書いてるけど、せめて事務経験は欲しい。工場の製造の経験しかないのは…」
と、私の職歴が不採用の原因になっていると知り、ショックでした。
中には
「事務経験か接客業の経験はないの」
と言われてしまい
「学生時代に接客業のバイトを少しやりました」
と答えたものの無理でした。
「学生時代の短期間では…」
と言われてしまいました。
私が通った学校は仕事の紹介はやっていなかったので、別の医療事務の学校に仕事を紹介してもらうべく登録に行きました。すると
「基本的にここの学校の卒業生を優先して仕事を紹介します」
と言われてしまいました。
一応登録は出来たものの、そこの学校は学校独自の資格があり、診療報酬請求事務能力認定試験に合格した事について触れてもくれませんでした。診療報酬請求事務能力認定試験は、医療事務の中で最高峰と言われている資格ですが、取ったからと言って就職は簡単ではないと思い知りました。
また別の医療事務の学校に、仕事紹介の登録に行きました。そちらは診療報酬請求事務能力認定試験も目指せるので、私が資格を取った事で
「頑張ったんですね」
と言ってはもらえましたが、やはり
「卒業生が優先になります」
と言われてしまいました。
しかし後日、こちらの学校から仕事紹介の電話がかかってきました。仕事内容は大手病院の看護助手(ドラマでやってたナースエイド)で、夜勤ありの勤務だと言われました。
私がやりたいのは医療事務やクリニックの受付であり、大手病院の看護助手ではありません。それなら医療事務の資格を取った意味がないと思いました。なので断ったらそれ以降仕事紹介の電話はありませんでした。
のちに大学病院に患者として通う事になるのですが、大学病院で働く受付スタッフは医療事務の学校の卒業生なのかなと思いました。裏の医事課とかで事務してる人たちは、大学病院の正社員なのかもしれませんが、表で働くスタッフは医療事務の学校からの紹介のパートなのかなと。
中には受付に並んでいる患者さんに
「今月初めての方は保険証の準備をして下さい」
とか
「会計受付はこちらです」
と案内を担当してるスタッフがいて、他に会計業務などと交代でやっているのならまだしも、ずっと案内係だけだと、医療事務の学校行った意味ないよなぁと思いました。
ある日の事。ハローワークでたまたま見つけたクリニックの求人に応募しました。ハローワークの担当者から電話をかけてもらい、直ぐに面接の日が決まりました。
しかしその日の夜、クリニックから電話がかかって来て
「面接に１日早くに来れないですか」
と言われました。
もちろんし、面接に行って来ました。
そしてすぐに
「早速明日から来てください」
と採用されました。
私はこんなとんとん拍子に進んで大丈夫なのかと不安になりました。
面接に行った時間はクリニックがお休みでした。面接をしてくれた先生が電話で誰かと会話をしていて、その内容がトラブっている感じがして、それも不安が増してしまいました。
事前にHPを見た感じ、出来て数年は経っているようでした。
「他にスタッフ何人いますか未経験なんで仕事を教えてくれるスタッフはいますか」
と質問したところ
「スタッフは色々あってバタバタと全員辞めてしまって。１週間前に入った新卒の子が1人いるだけ。その子はまだ入って１週間やから、仕事教えられる程じゃないよ。今看護師も検査技師もいてないから、いずれは雇って人数増やす」
と言われました。
流石にこのクリニックヤバいやろ、大丈夫かと不安でしかなくなり、断ろうかと思ったのですが、最初に
「明日から来れますか」
に
「大丈夫です」
と返事をしてしまった手前、今更断れないと思いました。
「ここのクリニックの悪口を言って、評判落とさないでね」
と釘を刺された時点で、過去にあったんだなと思いました。
こうして不安だらけではありますが、クリニックで働く事が決まりました。