友達


入学式で友達作りに失敗し、気付けば仲良しグループが出来上がっていて、私はどのグループにも入れませんでした。

ブランド品を身に付けた人達と、貧乏人の私とでは合わないと感じてしまいました。かと言って中退をするのは親に申し訳ないと思い、2年間独りぼっちでも頑張ろうと決めました。

入学して前期の授業が始まって少し経ったころ、思いがけない事が起こりました。仲良しグループの中の1人が、仲良しグループから無視されるようになったのですびっくりマーク原因は分かりませんが、突然独りぼっちになってしまった彼女Pちゃん。何とか仲間に入りたくて頑張るものの、ハッキリと
「仲間に入って来ないで」
と言われた事で諦めました。

Pちゃんもこれから他の女子グループに入るのは難しいと感じたのか、だけどこれからの学校生活独りぼっちは嫌だと思ったみたいで、入学式からずっと独りぼっちの私に声を掛けてきました。

最初は女子グループに属していたけれど、突然仲間外れにされた事など、とにかく愚痴っていました。
「もう一度仲間に入りたかったけれど、もう無理だと思う」
と、寂しそうに話していました。

私はPちゃんの話をただ聞いているだけでした。私も同じ経験があるから、Pちゃんの気持ちは痛い程分かります。

「こんな話してごめんな。良かったらこれからも一緒にお昼食べて欲しい。1人は寂しいから、仲良くして欲しい」
と言われました。願ったり叶ったりです。Pちゃんが仲間外れにされた事はとても悲しい事だけど、そのお陰で突然友達が出来て、私は2年間独りぼっちを覚悟していたのに、独りぼっちじゃなくなりました。

人の不幸を喜んではいけないと分かってはいますが、この時は内心喜んでしまいました。

短大に入学して直ぐに、名簿を作成するからと、名前と携帯番号を書くように言われたのですが、私は携帯を持っていなかった為、空欄で名前だけ書いて出しました。そしたら先生から
「携帯番号書き忘れてるよ」
と言われました。
名簿を見たら、私以外全員携帯番号を記入していました。

先生に
「携帯持ってないんです」
と言うのがとても恥ずかしかったです。

バイトをして携帯を持つと言う目標があったのですが、中々バイトは決まりませんでした。

見かねた従姉妹のおばさんが、昔使っていたプリケーを貸してくれる事になりました。カードを買って使うプリペイド携帯、通称プリケー。カードは自分で買いました。

短大にもなるとみんな授業バラバラだし、仲良くなった子とも同じ授業もあれば、そうじゃない授業もあり、連絡を取り合って一緒にお昼を食べていたので、プリケーを貸してもらえて有り難かったなと思います。

Pちゃんもやはりお嬢様なのか、中高一貫の私立女子校出身です。行きたかった看護師の専門学校に落ちて、親から
「浪人はしてほしくないから、何処か学校に行きたなさい」
と言われ、名前さえ書けば通るこちらの短大に来たそうです。
卒業後は看護師の専門学校を目指して、放課後は予備校に通って勉強をしていて、バイトはしないそうです。

お小遣いも親と祖母からも貰っていて、足りなければ祖母からいくらでも追加で貰えるそうですびっくりマークその為お小遣いを貯めてブランド物のバッグを買いたいと言っていました。

話を聞くと、私とは別世界の人間なんだなと思いましたが、Mちゃんとは違い嘘をついたり、揶揄ってきたり、人の物を取ったりと言った事はしないので、一緒にいて嫌な思いはしません。お互い独りぼっちで過ごすよりは、話相手が欲しくて、一緒に過ごしていました。

放課後一緒に遊びに行く事もなく、昼休みに外に食べに行く事もなく、休みの日にくだらないメールを送り合う事もなく、学校内で待ち合わせする時に連絡取り合ったりして、一緒にお昼食べたり、同じ授業の時は隣同士座ったり、休み時間に時間が合えば喋ったり、帰る時間が同じだと途中まで一緒に帰ったり。
それだけでしたが、Pちゃんのお陰で楽しい学校生活を送れたので、Pちゃんには感謝しています。