感想

 

「面白い」とは思わない。「面白くない」とも思わない。

「素晴らしく、学びが多い本」です。

 

「性行為の描写」が沢山出てくる。
人間の3大欲求への言及なので、シッカリと読む事で本書の理解が深まります。
「したい時に、したい人とすれば良い。それが自然だ」と思う。

 

興味深かったのは、「人間の心理の構造」について。
量子力学を用いて語る様は見事でした。

 

加えて、「悪に対する説明」は、物凄く良かった。

 

なぜ、貧困国が在り続けるのか?
なぜ、援助があるのか?
なぜ、反乱が起こるのか?

靖国神社に対する解釈も、戦争に対する解釈も素晴らしい。


加えて、

 

今の日本の政治がなぜこの様に動いているのか。
利益優先の企業の行い。
警察の暗躍など。

とても事細かに書かれています。

 

松尾の話、高原の過去、沢渡の過去を通じて語られるこれらは、「作者が書きたかったこと」なんだと受け止めました。

 

30代男と、その妻の「思想」は、現代社会の縮図だと思いました。

この本は、「善と悪」、「生と死」を理解する助けになる名著です。

 

語彙

 

煩悶(はんもん):色々と思い煩うこと

涅槃(ねはん):nirvana(ニルヴァーナ):無の境地、死ぬこと

萌芽(ほうが):物事の兆し

思惟(しい):考え思うこと

機縁(きえん):キッカケ

安心立命(あんじんりゅうみょう):信仰によって心を安らかに保ち、乱されないこと

泥濘(でいねい):ぬかるみ

曝される(さら)

退廃(たいはい):道徳的に崩れて、不健全な様子

糊塗(こと):その場凌ぎに誤魔化すこと

豊饒(ほうじょう):土地が肥え、作物が良く実ること

豊穣(ほうじょう):穀物が豊かに実ること

抑揚(よくよう)

睨む(にら)

迷妄(めいもう):物事の道理を知らず、誤りを真実と思い込むこと

些少(さしょう)

蹂躙(じゅうりん)

卑小(ひしょう):みずぼらしく、小さい様子

零れる(こぼ)

発露(はつろ):現れ出ること

汎神論(はんしんろん):全てのものに神が宿る

暗澹(あんたん):薄暗くはっきりしないさま。見通しが立たず、不安な様子

顕彰(けんしょう):隠れている立派な事を明らかにすること

牧歌的(ぼっかてき):素朴で抒情豊かなさま

翻弄(ほんろう)

義憤(ぎふん):正義のための怒り

罵る(ののし)