私は二人の男の友情の邪魔をしてはいけないと、離れて一人で泳いでいたのだが、なにやら私を呼ぶ旦那の声がする。

「あんまり遠くに行くなー。こっちこーい!」

旦那の近くに泳いでいくと、旦那が小声で

「なんかさー、もうずっとノノにピッタリ付かれちゃってどうしていいか分かんないんですけど。」

と愚痴る。

「○○さーん、こっちに魚いっぱいいます」

と元気いっぱいのノノサンの声。もちろん○○には旦那の名前が入る。

「はいはーい!!」

やけくそ気味の旦那氏。

私も一緒に行ってみる。

確かにノノサンの示すポイントには色々な魚がたくさんいる。ホテルのビーチでは見られないようなお魚もいっぱい。



この無人島はホテルのあるマクタン島(セブ島の管轄)から船で40分くらい。

ノノサンの地元のボホール島の管轄の島のようだ。ノノサン曰く、ボホール島はセブよりずっと自然がいっぱいで海が綺麗なんだそうな。


ところでこの島、陸からちょっと離れた海中に突如、トイレの建物がある。

ノノサンに聞いたところ、この無人島の白砂をシャングリラが大量にプライベートビーチ用に運んでいってしまったらしい。それで島の面積が小さくなってしまい、トイレが海に取り残されてしまった、そうな。


そんな話をノノサンから聞いていると、ノノサンの注意を私にひきつけさせて、旦那氏は全力で遠くに泳いで行ってしまった。


スコールが降り出し、急に寒くなってきた。


そろそろあがろうかなぁ、天気も悪いし何しろ寒い、、、。

と思っているとノノサンが

「ウニを取りに行こう!食べられるよ!」

と言いだす。


この好意をどう受け止めていいのか判断がつかず日本人お得意のアルカイックスマイルで後ずさり。

ノノサンがすでに泳ぎだしたのに、ついていかず、聞こえなかったフリをしてしらばっくれて陸にあがってしまった。


少し不機嫌なノノサンが「ウニを取った」とやってきた。スコールでうまくとれず1個しか取れなかったとのことだが、さすがに取れたてのウニはうまい。うーん、ノノサンごめん。。分かり合うにはいかんせん時間が短すぎるよ・・・。

それにしてもウニ、こっちの人(フィリピン人)はあんまり食べないのかな。どのレストランでも出ないんだよね(ってそんな何軒も行ってないからかな??)。


ノノサン以外の20-30人のスタッフ(貝を売りつけてくる人含む)は私らが泳いでいる間、ブラブラしてただ、ボーっと我々を見ている。

そこらにいるウニやら魚やら取ってどこかに売りに行った方がいいと思うんだけど。

私でもとれるくらいの浅瀬にうようよウニがいるわけだし。

それかゴミ拾うとかさ。綺麗な島に綺麗な海と言いたいけど、残念ながらゴミが目立ちます・・・。

もしくは旅行会社とかけあって

「ツアーをランチ抜きにして、貝とか魚とか客に好きに選ばせて食べさせる形態にしましょうよ!」

という提案でもして、ウニだとかあわびだとか取れたての活きた魚だとか堂々と売ればいいのにね。


ランチはBBQ。串にささった鶏肉が中心。なかなかおいしい。

それに先ほど購入したアワビとミル貝。これはおいしい!驚きのうまさ!もう1本ずつ買っても良かった!!


それにしても食べてる周りで10人くらいのスタッフ(というか船乗り)がしゃがんでるのがどうにもこうにも気にかかってリラックスできない。

ちょっと高めのテーブルなので立ったまま食べる私らを取り囲むようにしてしゃがんでいる10名のスタッフってすごい状態です。

旦那がたまらず

「あんたがたもランチタイムにしろ」

と言うも

「仕事が終わってからランチは取る」

と一蹴される。

まさか、周りにしゃがんでいるのは仕事なんでしょうか・・・?

で、

「ビールをもう一本どうだ?」

とか絶妙のタイミング(断りづらいタイミング)ですすめてくる。


デザートの果物は隣の2家族のテーブル(というか屋根付き壁なし小屋みたいになっている)はパイナップルだけなのに、私たちにはマンゴーやらバナナやら付けてくる。


「隣にはない」と言いながらワタリガニのバーベキューまでサービス。蟹のたまごがおいしかった。


旦那とチップを払うべきかどうかをアイコンタクトしているうちに、ノノサンが懐から「バイトしているんだけどネックレス買わないか」と取り出す。

うーん、もうあなた達とはどう付き合っていいのか分かりませんがな。


私がネックレスは断ると(だって全然欲しくなかったんです・・)、今度は旦那に「横になれ。マッサージする」と言い旦那の肩を揉み始めた。

「グッド イナフ!!グッド イナフ!!」

ノノサンが日本語なのにも関わらずなぜかそこだけ英語でかたくなに断る旦那。


そうこうしているうちにスコールはますます厳しくなり、予定の時間にはまだ1時間くらいあったものの早めに帰ることになった。


帰りの船もスコールでずぶぬれ。

チップをいつどのタイミングで渡すべきかを迷っているうちに港についてしまう。


ノノサンに右手を差し出され握手をしながら「ともだち」と言われる。


海の男の手のひらだった。優しい手のひらだ。

チップを渡すタイミングを完全に逸し、そのままお別れ。


今思い出してもほろ苦い感情がこみ上げる。

次回はチップは渡すか渡さぬか、どうしようか迷ったら絶対に多めに渡そう。チップのカルチャー(どのくらい渡せばいいのかとか)が良くわからないし、ボラれたりなめられたりするのは嫌だから、戸惑ってしまったけど、あれほど良くしてくれたことに敬意を表さなかった自分を恥じる気持ちがこみ上げてどうにもこうにも後味が悪い。