昨夜、延々と原稿を書いたのにもかかわらず送信の段階でエラーが出て超ロングな原稿自体が消えうせたくまろんですorz


気を取り直して、本の紹介。

週末、体調がイマイチ思わしくなく、ゴロゴロしながら(時にグラグラ揺れつつ:東京で地震発生)7冊くらい読書。

中でも小谷野敦が気になって3冊も連続で読んでしまった。


読んだ順

1.「帰ってきたもてない男」

2.「もてない男」

3.「すばらしき愚民社会」


まあ概要はamazonの書評でも見ていただくとして、この「もてない男」=小谷野氏っていうのをキーワードにグルグル話が巡るわけで。

実際の発行順は2,3,1の順です。

「帰ってきたもてない男」は小谷野氏の新作なわけですが、帯コピーが凄い!


“もっともてなくなって再登場”


完全に読者を煽ってます。まあ実際このコピーにやられて私も手にしちゃってるわけです。

なにやら「もてない男」でその名を轟かせた小谷野氏、ベストセラー入り直後に結婚しているわけです。

それで、「もてない男」が結婚できるかー!という読者の皆さんの熱い期待に応えたのかどうなのかは知りませんが、このたび晴れて?離婚して、さらにパワーアップで新刊を発表と。すごい人生だ。


“女なら誰でもいい”、などという男は「もてない男」ではない!と小谷野氏はばっさり。

「もてない男」=自分の理想の女性に唯一の存在として受け入れてもらえない男、のことをここでは指すわけです。もちろん小谷野氏は「もてない男」であると。その「もてない男」という弱い(?)立場を利用して言いたい放題、やりたい放題です。

「もてない男」はすでに彼のアイデンティティ。ここ失ったら、完全に彼は立ち位置失うわけで笑。


彼はセックス至上主義ではありません。高学歴美女至上主義です。セックルのプライオリティは1300番目くらいでしょう。

ターゲットと付き合えないくらいなら誰とも付き合わない、という論理です。結婚においても妥協してしまったがために、離婚していると。んで、

「高学歴でもブスは×。美人でも低学歴は×。顔は重要、胸はどうでもいい。自分は東大出てるってのに、なんだって背が高くて美男子でスポーツマンなだけの頭の弱い男に負けるのだ!」

などと半分冗談めかしながらも相当好き勝手なこと言ってます。

これ、イケメンが言ったらかなり強めのバッシング受けると思うけど、小谷野氏だから許されるんだろうなぁ。

っていうかそのイケメンに負けるべくして負けてる要素は十二分にご自身が理解されて、それでなお言っておられるようなので、ここでは言わない。


まあ、東大10浪して、なおも決して諦めない落ち武者浪人生も、別に本人がそれで満足していて、誰にも迷惑かけてなければ(仮面サラリーマンとかしてれば親の援助を受けずに済むしね)、それはそれでいい人生なわけで。

人間は諦めない限りは決して負けないわけだしね。さすがにそのうち死にはしますが。

まあ、振り返ったときにむなしさこみ上げてこない自信がある猛者にしかオススメしない生き方ではありますが。

「分相応」なんて人に決められたくないだろう、というのはパンピーの私にもなんとなく分かる。


岸本葉子の大ファンらしく、写真まで使っている。

岸本さん、気持ち悪いだろうなぁ笑。

そういう私は岸本さんの本(エッセイ)2冊くらいしか読んだことないけど、そんな言うほど素敵な文章にぶち当たっていないんだよね。善人っぽさが全面に出てるけど。比較すると“負け犬”書いた酒井ネーさんはさすがに面白いよなぁ。

東大限定っていうなら、さちグレさんのほうが岸本女史よりずっと面白いから、さちグレさんの存在に気づいたら飛びついてくるかもね笑。気をつけろ~っ(長井秀和風に)。

んー、でも小谷野氏の価値観でいうと「面白さ」はどのくらいの位置にいるんだろう謎。


何はともあれ、小谷野氏って女性的なんだよな。

女性には多い、こういう人。別にセックルなんぞしなくても生きていけるわけで、好みの人と結婚できないくらいなら誰とも結婚したくない、って人多いもんね。

「小倉千加子が「女でも「男なら誰でも、おいしくいただきます」って人はいる」って言っているけど、私はそんな女性に会ったことがないから、知らないものは何とも言えない」

と小谷野氏は言ってるわけだが、私もさすがにそんな女性に会ったことはないな(笑)。

つまり「男負け犬=もてない男」な定義なわけだ。

負け犬っていうのは負け組とは違うから要注意。


しかし、酒井女史の「負け犬~」を読んだ小谷野氏のコメントには笑ったなぁ。


「恋愛はけっこうしているけど結婚はしない女を“負け犬というのは、実は恋愛すらできない男女を”犬の腐乱死体“呼ばわりするのに等しいのではないか。酒井著に対して怒るならそういうふうに怒るべきである。犬の腐乱死体は遠吠えもできない。」


小谷野氏、結婚相談所(サンマリエ)にまで潜入して、思いっきりカウンセリング受けてます。ネタ半分、本気半分。

相手(女)の大学名見せろと言ってゴネたりとにかくすごい。個人情報保護法完全無視体制!


「もてない男」を書き進めることによって、より一層自分のアイデンティティを確認し、さらに強力に突き進む小谷野氏。

守るものもなければ失うものもない強さってすごい。


小谷野氏は「もてない男」だけどOTAKUじゃないんだな。

OTAKUってのは、基本的に何かと何かを比較して幸せ噛み締めないものだと思うんだよね。

それがいいかどうかは別として、私はそういうものだと思ってる。

小谷野氏はだからオタクっぽい見た目とは裏腹にOTAKUじゃない。

いや、OTAKUじゃないように見せかけたOTAKU??


すばらしき愚民社会は「もてない」とは別だけど、これも面白かった。

面白かった順は3,1,2かな。

うーん、でも結構好きかも。小谷野氏のこのルサンチマンだかなんだかわかんないものをカバーして余りある自己愛。自分大好きなのね。

自分大好きっていえば、「しのびよるネオ階級社会」とか言う本を書いた林なんとかって人も相当自分大好き過ぎちゃって、読んでて恥ずかしかったなー。この林氏のほうは学歴コンプだかなんだかわかんないものをカバーして余りある自己愛なわけだが(笑)。

うーん、好敵手だね。年代も一緒だしね(林氏が1958年生まれ、小谷野氏が1962年生まれ)。

まあ私的には、林氏は文章構成があんまり好きではなかったから多分もう読まないけど小谷野氏は面白いから読むかも。



一緒にゴロゴロ読書してたうちの旦那の感想が面白いので一応記念up


「うーん、ブスとバカほど東大へ行けってことが言いたいんだろ、結局。」


だって。そんな一言でまとめていいのか。旦那氏~。