「キネマの神様」 原田マハ

キネマの神様 (文春文庫)/原田 マハ
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すごく映画愛に溢れていて、
そんなに大好きでいられる
ものがあるって羨ましいと思ってしまった。


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主人公の歩(39歳独身)は大手デベロッパーの課長として
頑張っていたが突然会社を辞める。
時に同じくして歩の父親(79歳)が心筋梗塞で倒れ入院。
このお父さんが、映画とギャンブルが趣味で、
のちに多額の借金も発覚するというハチャメチャ振り。
宵越しの金は持たない主義で、傍から見れば愛すべき
キャラクターだが、家族の心配は尽きない。

そのお父さん(ゴウ)の映画の知識と愛情は半端無い。
歩自身も父親に影響されてか、映画が大好き。
あるときゴウが
映画雑誌が主催しているブログに、歩の文章を
投稿したことを
きっかけに、歩は編集部に採用され、
ひょんなことからゴウの
映画ブログをスタートさせることに。

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ゴウの書くブログがなかなかいいんです。
79歳のおじいさんではありますが、一本指でポチポチと
綴る文章は素直で本当にいい映画なんだな思わせてくれる。
そして、そのブログに書き込みを寄せたローズ・バッドとの
やりとりが、また映画ファンを魅了しているのです。

この本は、映画愛もさることながら家族愛の話でもあります。
涙腺崩壊CMで有名なこの映像に匹敵する号泣が最後に
待ち受けています。

父親と娘の想いが切ないタイ生命保険のCM(日本語訳付き)


号泣のポイントは、ちょっと違うのだけれども。(^_^;)

本の書き出しの方に
「観るたびに思う。映画は旅なのだと。 
 幕開けとともに一瞬にして観るものを別世界へ
 連れ出してしまう。」
という文章があります。

私にとってそれは、小説だったりしますが、
ゴウの映画ブログを読むと、劇場で映画を観たくなりました。
とりわけ名画座というところに行って観てみたい。

ここ数年、劇場はおろかDVDですら
映画を見ていないというのに。笑