「銀行が嫌いだから、金融庁に入った」
まじめで、公正。もっとも信頼される金融庁検査官、松嶋哲夫に、
大合併による綻びが噂される大東五輪銀行への特別検査の命令が
下る。大東五輪銀行には哲夫の弟、直哉がいる。


金融庁の検査官と銀行との攻防、なかなか面白かったです。
ここでは、金融庁検査官をヒーローちっくに、銀行の担当責任者
が悪役になっています。取引先の格付けが下がらないように
決算書を改竄したり、資料を隠蔽したりと、保身のためとしか
思えない銀行の対応は、検査官でなくとも怒りを感じちゃいます
よね・・・ まぁ、小説の中のお話ですけど。


山一證券や北海道拓殖銀行の破綻を皮切りに、破綻する金融
機関が続出し、銀行の統合、再編がなされて現在のメガバンク
があるわけですが、やっぱり醜い派閥争いはあるのかな?
この小説には、その金融機関激動の時代にあった出来事が
ネタ元としてあるんだろうなと想像して、銀行員も大変だな~
と感じたのでありました。


そして、検査官の松嶋哲夫はカッコイイという印象ではないの
ですが、常に自分を律し、公正な態度で臨む姿勢は、尊敬に
値します。こういう検査官が来たら、銀行もちゃんとやらざるを

得ないだろうなと思いますね。

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