「今までずーーーっとお互いに片想いで相談しあってたのに、あたしだけ取り残されちゃうのかぁって気がしてきちゃって」

「そんな事を気にする時点でもうおかしいだろ」


 井上は井上で。
 松本は松本だ。
 焦って、動くようなものでもない。


「そうなんですけど、天の川の力を聞いたら欲が出て来ちゃったと言いますか、期待しちゃったと言いますか」

「……やっぱ、馬鹿だな」

「たいちょーーーーーーーーーーーっ」

「お前こそうるさいっ、叫ぶな」


 お互い、さっぱり星はもう見ていない。
 ここまで興味ないもんに。
 縋る事自体が、既におかしい。


「お前は相手が俺じゃなくても、この天の川を一緒に見ればそいつと付き合うのか?」

「そんな事あるわけないに決まってるじゃないですかっ」

「何でだよ。お前と井上の話だと、天の川を一緒に見さえすれば付き合いだすわけだろ?」

「あら…」


 あら、じゃねぇよ。
 ちったぁ考えろ。


「星見たぐれぇで、ンな事にはならないって解るだろ?」

「はい……」


 シュンと一気に、目に見えて落ち込んだ。
 そんなに落ち込む事なのかと、笑える。


「解ったんなら帰るぞ。どうせお前だって本当は星なんか興味ねんだろ」

「……綺麗だとは、思いますよぅ」

「だろうけどな、そりゃ俺もだ。だが、興味はない」


 何時間もいつまでも、見てるほどの興味はどこにもない。


「見れたんだから良いじゃねぇか。一応、お前の希望は叶っただろ?」

「叶ってませんもん……」


 一層シュンと寂し気にしおれ。
 それでも不満一杯の顔で。
 地面を剥れッ面で松本は見つめている。

 面白い女。


「叶っただろ。俺がお前と付き合ってやりゃあ良いんだろうがよ?」

「……………へ?」


 くるくると多彩に表情が変わるのも。
 松本の面白い部分だと思う。

 今は呆けて。
 じっと俺を見ていた。


「叶ったって言ってんだろうが。付き合ってやるよ、それで充分だろ」

「……何でそんなに、偉そうで俺様ですか?」

「偉いからな」


 松本はあまりそうは思っていない節があるが。
 いや、だからって舐めてるとは思ってもいないが。
 護廷で十三人しか存在しない隊首だ。
 偉いのは間違いない。


「そうですけど……隊長、何か軽いんですけど」

「そうか?こんなデマ話で人と付き合おうと企むお前の方が、かなり軽いと思うが?」

「企むって人聞きの悪い……」

「理由をアッサリ言えるくらいだ。同じように言えば済む話だろ?周りくどい事してねぇで、俺と付き合いたいって言やぁ済む問題だ」


 それがなかなか、言えないのが厄介な恋愛感情ってやつで。
 俺にだって簡単に言えるもんじゃない。
 その点では、松本の気持ちは解る。
 態度にすら、そうそう簡単に出せるもんじゃないからだ。


「……お前な、一応聞いておくが……付き合うって事の意味は解ってんだろうな?」


 鈍すぎる松本が相手。
 解ってない可能性大で、聞いておく事は最重要だ。


「解ってますよぅ……あたし、隊長のものになれるって事ですよね」


 随分と直球で来たな。
 まぁ、そうだが。


「そうだな。俺もお前のもんになるって事だ」

「……本当ですか?」

「嘘でこんな事を言うほど、酔狂じゃない……信じないなら、それでも良いけどな」

「イヤーーーーーーーーーっ!!!し、信じます!!信じます!!」


 ここで逃がしてなるものかとばかりに。
 松本は必死にコクコクと頷いて。
 慌てたように「信じる」と言いながら何度も頷いて。
 ようやく落ち着いたかと思ったら。
 微笑んだんだ。

 嬉しい、と。
 静かに、綺麗に。

 それは。
 松本の言う通り、情緒がないんだろう俺でも。
 多少なりとも綺麗だと思う煌めく星々より。
 数万倍も綺麗だと感じる笑顔だった。


「…………」

「たいちょ?どうかされました?」

 
 そんなに喜ぶのかと、驚き。
 嬉しいと見せる笑みはあまりにも綺麗で、何も考える事も出来なくなって。
 思わず見惚れていた。








 続
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 態度に出さない解り難い隊長を目指すのに、隠しきれないこの想い…になってしまうのは何でなんでしょうねぇ…。
 メロメロだから、仕方ないのか…。orz