啄み合うような唇が離れたら。
 どちらからもクスリと笑った。


「………何の話をしてたかな……」

「何でしたっけ?」


 あたしはもう。
 トド様座椅子に向かい合って座ってて。
 隊長の首に腕を絡めてた。

 隊長の腕は。
 あたしの背をしっかり撫で回ってるし。

 すっかりいつもの休日モード。


「まぁ、あれだ……お互い馬鹿みてぇに互いしか見てねぇ上に、すんげー嫉妬深いってこったな」

「ですね……」


 結婚してからも、月日は流れた。
 その前からも、随分と長く一緒に居る。
 だけど七緒のお陰で。
 新たに伝わる想いの一部が未だにある。
 これからも、あるのかも知れない。

 それも嬉しい。


「七緒と京楽隊長も、いつかは隊長とあたしみたいになるんですかね?」


 想いの形は様々だけど。
 あの二人もかなり互いに嵌まってる。
 似た者同士かも。

 今日はきっと、ヤキモキして、焦りが爆発したんだと思う。
 泣きそうなくらい必死だった。
 それだけ、七緒は京楽隊長を愛してるって事。
 総隊首室に、隊長が居るとすら気付けないほど。


「そうかもな……」


 翡翠は優しく優しく微笑んで。
 頷きながら、あたしを強く抱きしめる。
 トド様座椅子は今日はもう閉店らしい。


 その時、なれるわけないでしょって。
 何か聞き慣れたような声が。
 聞こえた気がしたけど。
 誰の霊圧も感じないし。

 気のせいかなって、流した。

 それよりも、より深くと。
 角度を変えて降りて来る隊長の唇が。
 触れる直前に、急いで伝えた。


「これまでも、これからも、ずっと愛してます……旦那様……」

「知ってる……俺もだ奥さん……」


 素直な感情をはっきり伝えたら。
 大好きな、あたしだけへの。
 想いの溢れた笑顔が見れた。



 実際には、七緒から話を聞き。
 部下の非礼をと。
 ああ見えて礼節に拘る京楽隊長は、詫びに来てて。

 だけど七緒が驚かされた事への仕返しに。
 隊長とあたしを少し驚かせようと。
 霊圧を隠して、隊首室前まで来てたらしい。


 そんな京楽隊長が零した。
 なれるわけないでしょって呟きを。


 あたしは流したわけで。
 まぁ、会話も。
 筒抜けだったわけで……。

 京楽隊長ったら。
 言い触らすのよ……。

 七緒だけならまだ良いのに。
 うちの席官達にも、参るよねぇなんて。
 わざわざ世間話して帰るし。

 お陰で十番隊はお祭り騒ぎになった。
 こうなるから。
 普段、あの子達の前では控えてるのに。

 しかもあのオッサン。
 他の隊長格にもベラベラと。
 羨ましいねぇ~なんて呑気に。

 お詫びに来たはずなんだけど。
 七緒を驚かせちゃった事と。
 気付かずに惚気に付き合わせちゃったから。
 軽い仕返しをされた気分を味わった。

 部下達は今更ながら泣いて喜ぶし。
 隊長格からはからかわれるし、羨ましがられるし。
 七緒は尊敬の眼差しであたしを見るしで。

 しばらくは照れっぱなしの日々だった。





 で!!!
 隊長はと言えば。

 ニヤニヤしてんのよ……。
 すっごくすっごく嬉しそうに。

 これがまた。
 京楽隊長が来てた事に。
 隊長は気付いてたって言うんだから。
 相変わらずタチが悪い。
 悪すぎる。


「隊長……教えて下さいよぉ……」


 今日もいろんな隊長格から、またからかわれた。
 イヤなわけじゃないんだけど。
 認めて貰えて、喜んでくれてるのも。
 ちゃんと解ってるんだけど。

 やっぱり、恥ずかしい。


「霊圧をわざわざ隠して来てたからな……気付かない振りをすんのが礼儀だろ」

「いやいや、おかしいですよ、その言い分」

「そうか?」

「わざとでしょ」


 困った旦那様…って伝えたら。
 深く深く微笑む。


「夫婦生活に関しては京楽より先輩だからな。教えてやれる良い機会だったろ?」


 綺麗な、本当に綺麗な笑顔なんだけど。
 悪戯が成功した後の笑みに見えるのは。
 どうしてかしらね。


「ちょっとだけ、京楽隊長ったら強引になったみたいですよ」


 七緒から教えて貰った情報を伝える。


「そうか……で?上手く行ってんなら結構な事だろ?」

「いえ、それが……七緒が慣れてないから、ぶっ叩かれたようですが……」


 あたし並に、七緒も照れ屋だものね。
 あたし以上かも。


「は……ダメじゃねぇかよ」


 隊長にも、その光景は容易く想像出来るからか。
 苦笑してた。


「ま、人それぞれだからな」

「そうですよね」


 焦るものでもない。
 二人に合った形を。
 二人で育んでいけば良い。


「俺は強引に行くけどな」

「あら、隊長もぶっ叩かれたいですか?」

「ぶっ叩かれたくはねぇが、それで引く気はない」


 そんな言葉を聞いてる間に、また素早く。
 隊長の腕の中。


「嬉しいから、隊長を叩いたりしませんけどね……」

「知ってる……」


 七緒と京楽隊長には。
 二人に合った形がある。
 隊長とあたしにも。

 正解なんてなくて。
 不正解もない。

 互いを大切に想う、気持ちがあれば良い。

 隊長を想う気持ちのまま。
 広い胸に収まって。
 頬を頬に擦り寄せたら。

 ちょっとだけ強引に。
 顎を掴み寄せられて。

 互いに微笑みながら。
 口づけ合った。






 終わらなきゃ
 201009
 ■□■□■
 変てこりんな話で申し訳……orz
 居たのか、隊長!?な甘い話を書きたくてですねf^_^;
 恋愛に関する考え方は様々でしょうが、私の恋愛観はこんな感じです。orz

 最後は居たのか、京楽隊長!?も一緒に。笑

 新章シリーズで七緒ちゃんが実際に出て来たのは初めてじゃないでしょうか…多分。
 かなり、らしくない気がしますが、考えた末に七緒ちゃんが相手になりました^^;
 書いていて特に違和感はなかったのですが、違和感を感じられた方はいらっしゃるかもですね…すみません。orz

 タイトルの「極(きょく)」にこだわったのは、究極の馬鹿夫婦(おい)を書こうと思ってたからでしたf^_^;

 お楽しみ頂けましたなら幸いです^^