市丸は困り果てた顔してるが。
 気にしないのが雛森だ。


「仕事は大丈夫です!書類仕事ならシロちゃんが得意だから!」

「おい、こら……」


 結局、俺に回すのか?

 だが、ずっとこのままなのは確かに困る。
 この面子が日常になるのは勘弁だ。
 仕方ないと、取り合えず頷いた。


「お願いします、市丸隊長っ!」

「ギン、行ってきなさい !」


 雛森が頼んだところで、市丸が動くはずもないが。
 松本の鶴の一声に。
 渋々、市丸は立ち上がる。


「日番谷はん……すんませんけど、これ……」

「……まぁ、今回はな」


 市丸が抱えてる仕事は引き受けるしかない。

 十番隊、つーか。
 松本さえ戻ってくれば、他隊がどうなろうが。
 正直知った事じゃねぇ。

 とは言え。
 三番隊の隊首と五番隊の副官に。
 いつまでも居座られたら堪らない。


「ちゃんと謝るのよ!」

「うん……日番谷はん、信用しとるから……」


 仕事より、そっちが気掛かりだと。
 泣きそうな顔を市丸は俺に見せるが。
 返事はしなかった。
 松本はつれなく、市丸を執務室から追い出す。
 一緒に雛森も。

 すぐには丸く収まりそうにない。
 全く…と、松本と同時に溜息を吐いた。
 その溜息が合図みたいに、互いの視線が合う。

 松本はにこやかに微笑んだ。


「やっと二人きりですね、隊長……」

「そうだな……」


 三番隊の仕事が山積みだが。


「本当は、明日でも良いかなって思ったんですけど」

「うん?」

「ギンが吉良に謝るの……今日期日の書類ばかりだったし、明日で良いかなって」

「ああ…そうかもな」


 その間、雛森が煩いだろうが。


「でも、隊長と二人きりに早くなりたくて……」

「……」


 無茶苦茶可愛いんだな、素直な松本って。
 今まで、解ってなかった。

 手放せって。
 そりゃ無理だろ。


「俺もだ」


 一歩一歩、脇から松本は近付いて来て。
 待ちきれずに。
 俺からも手を伸ばした。

 ふわりと、松本は俺に抱き着く。


「あたしの大切な人は隊長ですから……ギンも大切には思ってくれてますが、あたしは隊長が大切なんです」


 誰よりも。
 何よりもと。


「俺も……」


 誰よりも。
 何よりも。

 松本が大切で。
 離れたら、上手く生きれない。
 頭痛まで、止まらない。

 離れて思い知った。

 副官としてだけじゃない。
 どれだけ大切かを。


「隊長、大好きです……」

「俺は愛してるよ……」


 好きだって言葉でも。
 愛って言葉でも。
 伝わらないほど。

 居ないと生きてけない存在を。
 言葉で表せるわけもないが。

 他に最大級の、言葉を知らない。


「あ、ずるいです。あたしもそっち」


 競い合うように。
 言い直して笑む松本は綺麗で、可愛い。

 仕事は山のように増えたが。
 それも今回は良いかと思う。

 くだらない画策に巻き込まれ。
 長い頭痛を味わって。
 妙な意地を張っちまったが。
 今は感謝してる。


 お陰で、より近くなった。


 両腕を回し。
 腕の中に閉じ込める。

 腕の中に居る喜びに頬を寄せ、唇を寄せた。
 市丸は泣くだろうが、知った事じゃない。

 約束だけは必ず守る。
 市丸に約束したからじゃない。

 ただ、ただ。
 松本が大切だからだ。


「他隊がどうなっても、もう手放す気はねぇから……」

「はい……お願いします」


 誤解もあったり、意地張ったり。
 もう二度と御免だと。
 告げて、さらに強く腕の中に閉じ込めた。


 誰よりも。
 何よりも。
 大切な松本を。








 終
 201004(20101010)
 ■□■□■
 やっと終わりますっ(>_<)
 途中、長い事止まってしまって申し訳ありませんでした(>_<)

 最後がむーんと悩みますが、それぞれの大切な人を書けたので、まぁ良いかと…f^_^;

 珍しい白雛森話でしたが、実際自分でも気に入ってる話でした^^
 もう前半の記憶あやふやですが…(おい)


 飛び飛びでしたが、お付き合い下さった皆様、ありがとうございました^^
 今こそUPするほんわか系の話かな?と思ってますが、
少しでも楽しんで頂けましたなら嬉しいです^^