オリジナル席官が出て来ます。
詳しくは小説一覧より『オリジナル席官について』の記事をご覧下さい
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「俺は松本と呼びながら、いつか乱菊と、胸を張って呼びたいと願ってた」


 これですもの。
 本当に末恐ろしい。
 今の見姿でも十二分に男前なのに、成長してしまったら。
 それこそ手が付けれらないくらい、女性の目を引き、気を引くのだろう。
 本人が望む望まぬに関わらず。


「お前は思った事はないか?」

「あります……でも、練習した事はなくて」

「俺だってねぇよっ」


 鋭い突っ込みに、ついついあたしは笑ってしまった。
 一人であたしの名を、呼ぶ練習をしてる隊長を想像してしまって。
 その想像も難しかったけど、ぱっと一瞬脳裏に浮かんだ。


「笑ってねぇで呼んでみろ、乱菊。俺の名を」


 頬に手を添えられ、真っ直ぐに見つめられる、翡翠に。

 
「と……冬獅郎、さん……」

「さんは、いらねんじゃねぇのか?」


 滅相もないと、あたしは思い切り否定した。


「古風な女だな……」


 クスリと、笑みの音が漏れて。
 あたしの呼び掛けに応えるように。
 唇に触れた。
 唇で。

 今日始めて知った隊長の唇の熱は。
 冷たさの中に温もりが在って。
 心を満たし、愛を教えてくれる。

 唇の熱だけで、これだけの愛が解る。
 もっと触れ合えたら、もっと、解るのだろう。


「あたしを選んでくれて、ありがとうございます」

「俺こそ」


 素直な言葉に返るのは、素直な言葉。
 地獄から一気に天国に引き上げられて。
 今死んでも後悔などないくらい、幸福に満たされる。


「愛してる、乱菊」

「愛してます、冬獅郎さん」


 そうしてまた。
 唇で触れ合った。


「俺はまだ仕事が残ってるが、帰りは送ってくからな」

「仕事って……ああ!」


 あたしへの言葉を、半刻も悩み考えていたと言っていた。
 その代償に、片付いていない書類の山。


「手伝います。一緒に片付けましょう?」

「……どうした。お前が進んで仕事を手伝うなんて」


 失礼な事に、隊長はあたしの額に手を当てて。
 熱でもあるのかなんて、呟いてる。


「確かにサボリ魔ですけど……あたし、仕事に手を抜いた事ないですよ?」

「知ってるとも。だがな、サボる事自体が手を抜いてるって普通は言わないか?」

「ぐっ……そ、そうとも言います」

「そうとしか言わねんだよ」






 

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 俺の名を呼んでみろって聞くとジャギを思い出します(by北斗)。
 あれは「言ってみろ」でしたかね…。←現実逃避。




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