「いいからもう黙れ。松本をンな無神経な言葉で傷付けるな。お前でも許さねぇぞ」

「何で乱菊さんなんか庇うのよ。シロちゃんおかしいよ」

「雛森……おかしいのはお前だ。何を言ってるか、自分でも解ってねぇんだろ?良いから黙れ」

「イヤよっ。相応しくないもの。乱菊さんなんか、シロちゃ…きゃっっ」

「隊長っっっ」


 給湯室からの襖を開けた乱菊の、手に持たれていたお盆が。
 音を立てて落ちる。

 目を見開いて、その光景に驚き。
 慌てて乱菊は雛森へと駆け寄った。


「とっととここから出て行けっ!!」


 頬を押さえて驚いている雛森へと。
 降り注ぐのは容赦のない言葉と怒り。


「隊長、落ち着かれて下さい。女の子に手を上げるなんて、隊長らしくありませんよ」

「……松本、雛森副隊長がお帰りだ。執務室の外までお送りしてくれ。雛森副隊長、退室を」


 感情を必死で抑えた、冬獅郎の声に。
 雛森は目を見開き、縋るように冬獅郎を見た。

 縋った視線に、答える声は冷たい。


「今後一切、五番隊雛森副隊長は十番隊隊舎に入れないよう、門番に伝達を頼む」

「隊長っっ」

「松本……」


 従えと、柔らかい口調が乱菊に言っていた。


「…………はい」


 冬獅郎は再び書類へと視線を戻す。
 もう雛森を見る事もない。


「シロちゃん……」


 雛森が呼んでも。


「シロちゃん……」


 返事は返って来なかった。


「雛森……大丈夫?今日のところは帰った方が良いわ……行きましょう」


 乱菊がそっと肩に手を掛け。
 執務室から出るように、震える身体を促した。
 コクリと小さく雛森は頷いて。
 乱菊に従う。

 
「どうしよう、乱菊さん。私、シロちゃんを怒らせちゃった……」

「大丈夫よ。あたしから後で頼んでみてあげる。だから泣かないの」

「ありがとう乱菊さん……乱菊さん、大好き」


 ギュッと乱菊へと抱きつく、小柄な身体。
 乱菊はその背をポンポンとあやすように叩いて。
 柔らかく答える。
 
 それを見て、冬獅郎は手に持つ書類を握り締めた。


「あたしもよ雛森。さぁさ、泣かないの。痛かったら、四番隊行った方が良いかもね」

「ううん、大丈夫……シロちゃん、許してくれるかしら……」


 雛森はチラリと背後を振り返り。
 睨んでいる冬獅郎に気付き、言葉を失った。
 乱菊も雛森に習い、背後を振り返る。

 慌てて雛森と、襖の先へと飛び出した。


「………あの様子だと、当分は難しいかも、ね……隊長、普段冷静なだけに怒ると長いから」

「うん……」

「忙しくて送ってあげれないけど、気をつけて帰るのよ。またね、雛森」

「うん、乱菊さんもまた。ありがとう、乱菊さん……シロちゃんにゴメンネって伝えてね」

「ええ、必ず」


 ペコリと頭を下げて、トボトボと歩いて帰る小柄な背中。
 手を振って乱菊は見送り。
 執務室へと戻った。













 
 
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 この項が書きたかったが為だけに、
 書き始めた小説です^^