ふるふると冬獅郎の腕の中。
 今も乱菊はビクビクと身体を震わせ続けていて。
 全身でその乱菊を抱き締め、強烈な波に震えている身体が。
 落ち着くまで、何度もゆるりと背を撫で続けた。
 柔らかく何度も唇を啄みながら。


「…は、ぁ、ふ……たいちょー……」

「ん?」


 啄む冬獅郎の唇に応えながら。
 乱菊は深く息を吸い込むと、冬獅郎を呼ぶ。


「すっごく、すっごく、気持ち良かったです……元のお姿でも隊長って無駄に天才だなって思ってましたけど、お姿が成長されても一緒ですね」


 破壊力抜群の満面の笑みで、微かに照れながらも。 
 ハッキリと乱菊も気持ち良かったと繰り返す。
 それは男として嬉しく思わないはずのない言葉だったけれど。
 が、待てよと冬獅郎は首を傾げた。


「松本、無駄に天才ってなんだ…?」
 
「エッチまで天才を発揮しちゃうからですよぅ」

「……それは、無駄か?」

「悪い意味じゃ勿論ないですよ?虜になっちゃうから困っちゃうってだけです」


 華やかに微笑み、乱菊も啄むように冬獅郎へと口づける。


「そりゃお前、良いことでしかないだろう?虜にさせとかねーと、俺が困る」 

「もうずーーーっと昔から、虜になりっ放しなんですけど…」

「そりゃ俺だ」


 まるで虜度合いを競うように互いに言い合って。
 クツリ、クスリと笑い合った。


「ホントはもっと虜にしてやりてーがな、今日は流石にもう無理させたくーよ。身体流して、風呂にだけ浸かるか?」


 大丈夫だと乱菊が言う事は解っていても。
 大戦で負った傷が、治っていても、深いのは冬獅郎も知っている。
 特に治療したのが十二番隊なのが問題で。
 必ずしも完全には安心出来る根拠がなかった。
 更に互いに、気付けないままに餓死寸前だった可能性も高い。

 無理はさせたくないと冬獅郎が言えば。
 乱菊は嬉しそうに、穏やかに微笑んだ。


「はい…あ、でも、隊長のお背中は流しますね」

「そこは譲れない部分、かな?」


 甲斐甲斐しくシャワーの湯を乱菊の全身に掛けながら。
 素直に音を零すから、乱菊は明るく笑い、大きく頷いた。


「傷はすっかり見えなくなりましたけど、背中も成長したら、こんなに幅も大きくなっちゃうもんなんですねぇ…」

「あー、どうだろうな?自分ではあんま実感はねーけど、視界は確かに全く違うな」

「あたしよりもう高いですものね」

「そうだな……10cmくらいじゃね?」


 腰掛けた冬獅郎の背中を、泡立てたタオルで洗いながら。
 しみじみと成長した姿の感想を、乱菊は素直に伝える。
 最初は老けたと不満そうだったが、すっかり慣れたのか。
 どちらかと言えば、既に気に入ってきているようだった。


「急に50cm近くデカくなってるからなぁ。視界が違うのは当然か……」


 乱菊に背中を洗われているのは嬉しそうで。
 上機嫌で自らの手を丸めたり広げたりと、観察している。
 

「お前がどっちの俺でも構わないと言ってくれるなら、俺はどっちでも良いっちゃ良いんだけどな」

「どちらの隊長も大好きですよ?」

「つって、お前、どうするよ?俺がいきなりじじーの域にまで老けたら」

「それでも隊長は隊長ですから。どんなお姿でも大好きです」


 裏の無い言葉なのは解っても。
 流石にそれは俺がイヤだと、冬獅郎が苦笑する。

 ゆっくりとシャワーで背中の泡を乱菊に落として貰い。
 さて、と、立ち上がる。


「ありがとな」

「いいえー。いつでもあたしだけのお役目ですから」


 他の人には絶対にさせませんし!と。
 乱菊は明るく言い放つから。
 冬獅郎もそうだなと頷いた。


「風呂は入りてぇ?」

「もう充分温まってますけど、ずっと掛け流しになっちゃってますし、入りましょうか?」

「いーぞ」


 快諾一つで、アッサリと乱菊を軽々抱え上げると。
 驚いたような奇妙な短い声が乱菊が飛び出たが。
 気にする事もなく、冬獅郎はそのまま湯舟に浸かる。
 隊首室の湯殿だからではなく、改装されている為。
 二人で入っても全く困らないほど、風呂桶は広かった。


 

 

 

 

 

 

 

 続

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 やれやれ。これでしばらくは消されまい。笑

 にっきにも書きましたが、体調が悪化していつ入院するか解らない状態になりました。

 出来る限り更新は続けたいと思ってますが(今でも飛び飛びですけど)、急に更新出来なくなる可能性もあるので、その時はすみません。

 事前にお知らせ出来ると一番良いんですけどね。。。orz

 

 必ず復活しますが、ネットを扱える状態ではない気がしますので、もしもの時は過去話をお楽しみいただけたら嬉しいなと思っています。