熊本地震
文字と手話で伝えたい 聴覚障害者支える動画サイト


毎日新聞2016年5月11日 西部夕刊

 熊本地震で被災した聴覚障害者に役立ててもらおうと、山形県の聴覚障害者支援団体「HAPUNE」(ハプネ)の佐藤万美(まみ)代表(39)が被災者向けの支援物資などの情報を手話と文章で伝える動画サイトを開設した。自身も聴覚障害がある佐藤さんは「必要な情報が入らずに苦しんでいる聴覚障害者への理解を深めてほしい」と呼び掛ける。

 佐藤さんは2011年3月に東京で東日本大震災を経験した時、テレビ映像に字幕の被害情報が流れないことに気付いた。宮城県で被災した聴覚障害がある友人からも「自治体の配給情報は音声で伝えるだけで、よく分からない。とても不安だ」と連絡があり、インターネット上で被災地の情報を集めては友人に伝えた。

 聴覚障害者でつくる一般財団法人「全日本ろうあ連盟」(東京都新宿区)によると、災害のたびに国やテレビ局に対し、字幕と手話通訳を要請しているが、熊本地震でも十分とはいえない状況だという。

 そこで佐藤さんは「これまでの災害の教訓を生かすには、当事者がアクションを起こすことが大切だ」と思い立ち、仲間とともに地震発生4日後の4月18日にサイトを開設。支援物資の情報を掲載している他、医師の助言を得て製作したエコノミークラス症候群の予防法などを手話で伝える動画を流している。

 熊本市東区の聴覚障害者の女性(39)は「障害者の中には文字が読めない人もいる。サイトの動画は手話もあって分かりやすい。サイトを知らない障害者に一人でも多く伝えたい」と話す。

 佐藤さんは「耳が聞こえない人にとって、災害時に情報が得られないと、命を守れないことに直結することもある。互いに助け合える社会になってほしい」と呼び掛ける。詳しくは「ろう者・難聴者・中途失聴者のための震災情報サイト」。【生野貴紀】

毎日新聞より引用
http://mainichi.jp/articles/20160511/ddg/041/040/007000c

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