少し前の
3歳児健診を受けるころのこと。

1歳6ヶ月になったにこちゃん。
兄と正反対の超活発な性格。
おかわりに応えていると
子供茶碗で3杯ご飯を食べてしまうし
夜はいちくんの抱っこしてー。
に答えているうちに寝てしまうので
新生児から寝かしつけもしたことがない。
困った時もポンポンすれば即寝。
寝かしつけポンポンは都市伝説だと思っていた私は驚いた。

いちくんのやれることは
当然あたしも出来る!
あたしもやりたい!やりたい!
何それ?見たい!触りたい!登りたい!
初めての場所も人も
臆することはほぼない。

あたしに出来ないことはない!
好奇心と万能感の塊。
ハイハイ歴約1年経て
ようやく歩き始めて2ヶ月。
うんていやジャングルジムの3段以上など
身長や体幹の発達で無理なものを除いて
あらゆる公園の遊具を全て制覇した。

絵を描いたり、トミカや積み木を並べるのが大好きないちくんとにこちゃんのためにそれぞれに机を購入した。
机に45分程はついて
兄のまねをしているにこちゃん。

一時預かりに預けても
全く泣かず、むしろ迎えにいくと
もうちょっとこれで遊びたいのと遊びを継続している。
親がいなくても全く泣かないにこちゃんに
個性ってこんなに違うのだと驚き、
せっかくだから
何か習い事をさせてみようと思い付いた。

私のメンタル的にも
外部に子供達のことを継続して見て理解し、
一緒に育児を共有してくれる人が必要だと思った。

幼児教室の体験を回り、
そのうちの1つに通い始めた。
いちくんもと思ったが
いちくんはレッスン中終始泣き叫び、
もう行かない!と言ったので断念した。
おうちで似たようなことをやろう。

幼児教室でも
にこちゃんの発達は早いのだと実感した。
お返事出来る、年が言える、楽しくダンス出来る、言葉もどんどん増え、課題も難なくこなす。先生や他の子、ママさんにも言葉にならない声で笑顔で話しかけどんどん歩き回る。

いちくんと家でやっていた
知育もにこちゃんを交えて強化した。
年齢的に少し難しい課題も
4月生まれと、性格もあり
にこちゃんの出来ることはどんどん増えた。
いちくんは相変わらずマイペースであったが。

そんな時に同じクラスの男の子のママから
声を掛けられた。
どうしてそんなに出来るんですか?
この子と月齢ほとんど変わらなくて…
なのに、にこちゃんはあんなに出来てすごい…

その子はいちくんに似ていた。
大人しく、時々泣いてしまう。
お母さんにぴったりくっついていて
でもじーっと観察し先生を見ている。
聞くと1人目のお子さんなのだと言う。

胸が痛く、苦しくなった。
過去から現在までの私に重なった。
彼女がどれだけの深さで悩んでいたのかは分からない。
涙が出そうになった。
発達が早い子を見たときの気持ち。
比べる必要がないと理解していても
我が子が可愛いからこその苦しい気持ち。

いちくんでその感情を痛いほど知っていても
彼女は発達の早い子の母として私を見ている。
私もいちくんがにこちゃんのような性格ならこの苦しい気持ちも知らなかったはず。
発達が早ければいい、なんてことはないはずなのに知らず知らずのうちに愛しい我が子へ、その期待をかけてしまう。

なんて言えば彼女に伝えられるだろう。

言葉に迷った。
すると聞いていた先生が
大丈夫!お母さん次第よ!!と言った。

あぁ…またか。またその言葉。
その言葉は真実。
だから残酷。足掻いてる時は枷にしか聞こえない。 否定されているとすら聞こえるから。

彼女は少し涙目になった。
私は上の子がずっと遅めで悩んでいること。
にこちゃんは2人目で性格的なこともかなり影響しているから気にしなくていいと思う、
○○くんが凄く観察出来てるのは強みだと伝えた。

彼女は今は上の子はどうですか?言った。
私は来年年少さんですが今も遅くて実はすごく悩んでます。と言ってからしまったと思った。

彼女の目から涙がこぼれた。
そっか。そんなに続くんだ…。と呟いたのが聞こえた。
その後は先生がこっちで話しましょうと行ってしまったのでその続きは分からない。

今の私からはこれ以上は言えない。
過去の私はきっと未来の私のそんなに悩まなくていい、楽しめばいいというアドバイスは聞き入れない。だって出口が見えないから。

彼女自身で自分の感情に答えを出すしかない。

彼女が教室に通い続ければ、
少なくとも今のいちくんよりは伸びるだろうし彼女自身も相談できる。

彼女が私のように長い間苦しむことなく
この言葉に希望が思えるようにと切に願う。