2006年5月に公布された後期高齢者医療制度(施行は2008年(平成20年)4月)は、法案が成立した当初から後期高齢者に冷たい制度などとして、野党やマスコミを中心に各方面から批判されることになります。実際のところ、後期高齢者医療制度にはどんなメリットがあるのでしょうか。まずこの制度が成立した経緯を知っておく必要があります。そこから制度の目的やメリットが理解できるからです。

後期高齢者医療制度の前身となっていたのが、1982年(昭和57年)に制定された老人保健法の制度です。これは伸び続ける高齢者の医療費を抑制し、財政健全化を目指すものでした。しかし結果的には医療費の伸びを抑えることができずに、当初の目論見が失敗することになります。

そこで1999年(平成11年)に議論が始まったのが、後期高齢者医療制度です。当時の政権与党内で、年金・介護・後期高齢者医療を包括した総合的な枠組みを構築することを合意し、さらに国会での審議を経て、2006年5月に与党の賛成多数で「高齢者の医療の確保に関する法律」が成立。制度の名称も老人保健制度から後期高齢者医療制度へ、変更されました。

この制度の大きな特徴は、財政運営の責任主体を明確化した上で、現役世代と高齢者世代の負担ルールも明確化し、さらに公平性も図った点です。つまり前身の制度で果たせなかった、高齢者医療費の抑制および財政健全化の目的を引き継ぎながら、この制度で一層の改善と強化を図っています。前制度の保険料と比べて格差が少なく、現役世代が抱える不公平感の解消も期待できるため、これらの点はメリットといえます。後期高齢者医療制度のメリットを含む詳細はこちらも確認してみましょう。→http://shakaihosho-mirai.net