あれ?
ここはどこだろう?
大きな木があり、その木陰で朋緒は目が覚めた。
体の上に大きな葉っぱが被せられていた。
と、誰かの声がする。
「だっふんだ!」
「だっふん…?」
「トモちゃん、目え覚めたか」
「オジサン!」
あの小さなオジサンが、今は朋緒より大きな大人の人になって現れた。
「あれ?私小人になってる」
「何言うてるねん、ずっとワシと一緒におるやないか」
「えっ?」
「そらそうやろ。大事な大事な一人娘やからな」
「えっ!」
「ほらこれ見てみ」
オジサンは白い布にくるまれた長いものを大切そうに持ってきた。
「これ…」
オジサンは丁寧に布をめくっていく。
「そうや。『かっぱえびせん』や」
これは朋緒があげた一本だった。
「オジサン。こんなに大切にしてくれてありがとう」
オジサンは少し顔を赤くして、笑った。
目が覚めた。
いつもより早い朝、自分の部屋の天井を見ている。
あれ?
あっちは夢だったのかな。
それともこっちが夢?
朋緒には分からない。分からないことだらけだ。
でも。
一つだけはっきり分かったことがある。
それは、オジサンは朋緒にとってとても大切な存在だということ。
それを奪おうとする存在がいるってこと。
なぜ忘れてたんだろう、オジサンのこと。
ふと、ママの悲しそうな顔と「先生」と呼ばれてた恐いオバサンのことを思い出した。
「今度小人が来たら私に言うんだよ、いいね」
嫌だ。
絶対に言うもんか。
あのオバサンに言ったらオジサンは消されてしまうに違いない。
あのカラスにも知られたらいけない。
朋緒はこぶしに力を込めた。
オジサンは私が守る。