「君のためなら死ねる、てか」

きいちゃん、笑ってる場合じゃないって。

「星田先生!

今救急車来ますから」

ユカちゃんが叫んでる。

きいちゃんの手を握る。

その力が段々弱くなってきた。

 

描きおろしを一本終えた夜。

私たちはハイになっていた。

「クリスマスまではまだ間あるけど、このままみんなでメリクリしよっか?」

「さすが先生、自分それ乗るっす!」

ユカちゃん元気だ、若いなあ。

「ドンキってシャンパン売ってるよね、サンタのコスチュームも」

きいちゃんも嬉しそうだ。

「よっしゃ、今から買い出しに行こっか!」

「ほんなら私の車出しますよ」

「ノリリンよろしくう!

ミドリ、悪いけど片付けとセッティング簡単でええからお願いできる?」

「オッケー」

「雨は夜更け過ぎに~雪へと変わるだろ~♪」

「星田先生、それ何の歌ですかあ」

「うわあ。山下達郎知らんの?

ジェネレーションギャップや」

みんなが出て行き、静かになった。

 

と。

 

ピンポーン。

「はあい」

「お届け物です」

 

あれ。

オートロック解除じゃなくもう玄関前まで来てるんや、

宅配の人。

 

と気付いたのとドアを開けたのは同時。

 

深く帽子を被っていたけど、あの人だとすぐにわかった。