クマゲロのブログ(熊谷宏)

クマゲロのブログ(熊谷宏)

田舎の歯科医師が個人の立場で徒然に呟いています。

組織のトップが、めざすべき目標や課題を華々しく提起して、それにむけて組織一丸となって取り組む、ということは原則として望ましい。

 

しかし、物事には、

「やってみたけどだめだった」

ならいいのだが、

「浅慮のまま下手に取り組んだばっかりに、普通にやればいずれは実現したものが、未来永劫実現しなくなってしまう」

こともある。

 

過去の日歯執行部、そして、地域の歯科医師会は、

「口腔保健の保持・推進に向けた取り組み」で

「国民(地域住民)のお口の健康を守り」

「もって歯科医師の社会的経済的地位を確保」

するための地道な取り組みを行ってきた。

 

そして、その具体的目標の一つが、「国民皆歯科健診」 であった。

 

今回、公益社団法人日本歯科医師会の会長が、公然と

 

「国民皆歯科健診は、集客目的」

 

であることを発言するにいたった。

 

「国民皆歯科健診」実現への道は閉ざされた。

 

と「私は」見ています。

 

返す返すも残念です。

メディファックスで報道されていました。

 

昨日開催の日歯連盟評議員会で、週刊新潮記事への対応について、執行部から評議員の意見を聞きたいとのことで協議されました。

 

執行部及び顧問弁護士より、経緯と現状、および論点等について説明され、意見をもとめられました。

 

わざわざ評議員会に聞くまでも無いと思いながらも私は以下のように意見しました。

 

1:今回の記事は、「日歯連の元執行部メンバーが明かす」という体裁をとっているが、内容は新潮自身が日歯連盟からの通告書に答えているように、「連盟の機関誌やマスメディアなどの報道によって、すでに公になっている事実に基づき、国民皆歯科健診の導入に向けた活動を山田議員への献金額とともに時系列でまとめたもの」に過ぎない。

 

2:その、法的に問題のない事実を、強い悪意を持って「印象操作」しているだけだ。

 

3;そもそも、怒りの矛先を実在するかどうかもわからない「元執行部メンバー」とやらに向け、先の迂回献金事件の時の内部告発と同列に扱うことは、勘違いも甚だしい。

 

4: 連盟が今注力すべきは、比嘉先生の当選と、皆歯科健診の実現であり、裁判などに無駄な金と時間を使うなどありえない。

 

5:皆歯科健診についていえば、新潮記事でも「歯科医が恩恵を被る施策」と書かれているが、現に社団の高橋会長は、「皆歯科健診は、皆の診療所に患者を集め、歯科医療費の自然増を目指すためのものだ」とか、「皆歯科健診は患者さんを会員の診療室にこさせるんです。来れば潰れることはないんです。点数が変わらなくても、患者が押し寄せれば潰れないんです。」などと集客目的であることをあらわに発言され、連盟の努力に足を引っ張る形になっている。連盟はこの点対応すべきだ。

 

他にも、私と同様の意見が数人から出され、それをうけて評議員会後に開催された理事会で、法的措置を見送ることが決まったようです。

 

いずれにしても、私は、髙橋会長の国民皆歯科健診に関する一連の発言は、致命的な大失言だと考えています。

 

 

代議員会の個人質問で、福岡県の代議員から、「歯科口腔保健の推進に関する法律(口腔保健法)の改正について」と題する質問がありました。

昨年春の国会提出されたものが、未だに成立をみていません。
そこで今回の質問は、その後の進捗状況及び日歯としての動きについて資するものでした。

当然の質問です。

そもそも私は、国民皆歯科健診の実現のために口腔保健法を改正する必要はないと考えています。

これらについては、これまでもブログ等で何度か指摘しています。
https://ameblo.jp/kumagero/entry-12800273642.html

私はこの質問に対して、この機会に追加の要望として2点申し上げました。

ここでは、そのうちの1点について記してみます。

それは、髙橋会長がさまざまなところで、
「皆歯科健診が集客目的である」
ことをあらわにされることを、具体的例をあげて問題視しました。

例えば、北海道でのデンタルミーティングでは、
「皆歯科健診は、皆の診療所に患者を集め、歯科医療費の自然増を目指すためのものだと思っている。」
と発言され、日本歯科新聞で報道されました。

また、川崎市で行われた13大市歯科医師会役員連絡協議会における講演では、
「皆歯科健診は患者さんを会員の診療室にこさせるんです。来れば潰れることはないんです。今のままの点数でも患者が押しかければ潰れないんです。」
とおっしゃいました。

これは、皆歯科健診が集客目的であることをあらわにしているといえます。

私は当日の発言において、
「これでは、週刊新潮が、皆歯科健診をして「歯科医が恩恵をこうむる政策」と書かれても致し方ないと言わざるを得ません。」
と付け加えました。

これを聞いた髙橋会長、激怒されました。
立ち上がられて、私に対して、
「まあ、言葉の端々を取り上げられてですね、誤解を頂いている感じがしますけれども、大元は国民のためですから。そして、会員の先生方のところに患者さんが来て早期発見早期治療する。国民のためじゃないですか!」
と仁王立ちになられました。

私には理解できません。

公益社団法人の会長が、
「皆歯科健診は患者さんを会員の診療室にこさせるんです。来れば潰れることはないんです。今のままの点数でも患者が押しかければ潰れないんです。」
なんていう発言をした時点でアウトです。

マスコミが、
皆歯科健診をして「歯科医が恩恵をこうむる政策」 と書いて、文句言えますか?

会長が、「皆歯科健診で患者がくれば潰れないんです」って公言しているのですよ?

これを指摘した私は、言葉尻を捉えたものに過ぎないのですか?


実際、ある行政に勤務する歯科医師の先生から、歯科新聞の記事(札幌のデンタルミーティング)が送られてきて、「どうなっているのですか!日歯の会長は!」と怒りのメッセージもいただきました。

残念ながら、公益社団法人の会長としての資質を疑わざるをえません。