NHK 健康チャンネル
2024年2月16日 より。
解説いただいた専門家
富永病院 副院長
竹島 多賀夫(たけしま・たかお)
顔面神経まひとは?
顔の筋肉を動かす顔面神経が働かなくなり、額から頬や口にかけて、顔の片側全体が自分の意志どおりに動かせなくなってしまう顔面神経まひ。国内だけで年間およそ5万人が発症しており、高齢者だけでなく、若者も含めて、いつ、誰が発症してもおかしくない病気といわれています。
顔面神経まひの意外な症状
耳のあたりがまひした場合
鼓膜の振動は、アブミ骨という小さな骨によって耳の奥に伝えられますが、この骨の動きを制御しているのがアブミ骨筋と呼ばれる、人体で最も小さな筋肉です。
このアブミ骨筋も、顔面神経によって操られているので、顔面神経がまひすると、伝える音の大きさのコントロールができなくなってしまい、ごく小さい音でも、うるさく感じるようになってしまいます。
他にも、顔面神経がうまく働かないと「味覚の障害」や「涙や唾液の分泌低下」などが起こるといわれています。
最も多い原因は免疫機能低下によるウイルスの活性化
脳梗塞や脳出血などの後遺症として顔面神経まひが現れることがありますが、それは顔面神経まひのうちの一部に過ぎません。
多くの顔面神経まひは、ウイルスが原因で起こるといわれています。単純ヘルペスウイルス、帯状ほう疹ウイルス、サイトメガロウイルスなど、さまざまなウイルスが顔面神経に炎症を引き起こすために顔のまひが起こります。
このようなウイルスが活性化するのは、免疫機能が低下しているときです。加齢のほか、ストレスや過度な疲労などによって免疫機能が低下すると、神経に潜んでいたウイルスが再活性化し、顔面神経まひを発症します。また、糖尿病の人も、顔面神経まひを併発することがあるので、注意が必要です。
顔面神経まひの後遺症「病的共同運動」
顔面神経まひを発症すると、「早く何とかしたい!」という気持ちから、ついつい口を強くかみしめたり、目を強くつむるなど、顔を無理に動かそうとする人もいますが、これは絶対に避けてください。
というのも、神経が回復するときに過度な刺激が加わると、「もともとは目の筋肉とつながっていた神経が誤って口の周りの筋肉とつながってしまう」などという現象が起こります。その結果、まひが回復した後に、口を動かすたびに目も一緒に動いてしまう後遺症「病的共同運動」が出てしまいます。こうなると治療も難しいので、予防することが大切です。
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顔面神経麻痺が発症したら、すぐに脳神経内科や耳鼻科を受診。
適切な処方が第一優先。
当院に来院された患者様から「帯状疱疹を発症した」というお話をよく聞きます。
こんな時は、顔面神経麻痺にならないよう注意が必要ですね。